言葉の常備薬［5］ITエンジニアの決まり文句

2008.12.18

　歳の瀬と言えば、忘年会！忘年会と言えば、余興！今回は、忘年会の余興のように、何か面白いことをやってみようと思います。ITエンジニアがよく口にする決まり文句を集めるというはいかがでしょう。私がサンプルをいくつか挙げますので、皆さんも「それって、よく言うよね」という決まり文句を書き込んでください。笑える言葉の常備薬にしましょう。

あちこちで耳にする決まり文句

　最初に紹介するサンプルは、多くの人が口にする定番の決まり文句です。きっと皆さんも、どこかで聞いたことがあるでしょう。

【決まり文句】

この見積もりは「エイヤー」じゃないでしょうね！

【解説】

コンピュータシステムの見積もりは難しいものです。勘と経験に任せて一か八かの金額を提示すことを、俗に「エイヤー見積もり」と言います。もしも、お客様から見積もりの根拠を追求されたら、もうヒヤヒヤものです。

【決まり文句】

この部分は「おまじない」だと思ってください。

【解説】

プログラミング言語を指導する講師がよく口にする言葉です。サンプルとして示したプログラムの中に説明しない部分を残した場合に「後でわかるので気にしないでください」という意味で「おまじない」と言います。

【決まり文句】

これは「バグ」ではなく「仕様」です。

【解説】

たとえば、お客様から「このプログラムは、データ数が10桁を超えると表示が見づらくなる」と指摘されたとしましょう。このとき「それは仕様です」と答えれば、納得してもらえることがあります。内心では「しまった！」と思いつつ、バグではなく仕様だと言ってごまかすのです。

【決まり文句】

このバグは「運用」で逃げてください。

【解説】

ポンコツの機械を「だましだまし使う」と言うことがありますが、それと同様の言葉です。お客様に納品したシステムにバグが見つかり、それを修正するのに時間がかかる場合によく言います。「バグが影響する部分を使わないようにしてください」という意味です。

毎度お馴染み、あの人の決まり文句

　次に紹介するサンプルは、私の仕事仲間の決まり文句です。皆さんの周りにも、似たようなことを言う人がいませんか？

【決まり文句】

実現できますが「費用」がかかります。

【解説】

お客様との打ち合わせで、先輩エンジニアがよく言っていた言葉です。お客様から無理難題を要求されたときに、断り文句として「不可能ではないが、かなりお金がかかる（それなら頼むはずがないよね）」という意味で言います。決して「できない」と言わないところが、カッコイイと思いました。

【決まり文句】

この機能は「次のバージョン」で対応します。

【解説】

これも先輩エンジニアの言葉です。お客様の前で、納品したシステムのデモンストレーションを行うときに、対応していない機能が残っていたとしましょう。ここで、焦らず騒がず「次のバージョンで対応する」と言い切るのです。あまりにも堂々と言われると、お客様も納得してしまいます（ただし、必須の機能でない場合です）。

【決まり文句】

すみません、間違って「古いバックアップ」で上書きしてしまいました。

【解説】

納期ギリギリの仕事をしているときには、誰からも絶対に聞きたくない言葉ですが、まれにあるものです。私も言ったことがありますし、同僚から聞かされたこともあります。「落雷でパソコンが壊れてしまいました」という言葉も怖いものです。なお、これらを納期遅れの言い訳にする場合は、何度も使えない言葉であることに注意してください。

【決まり文句】

/* お二人の愛の無限ループ */
while (love == true) {
happiness("太郎くん", "花子さん" );
}

【解説】

同僚の結婚披露宴で色紙が回されてきて、寄せ書きを書くことがあります。何かITエンジニアらしいことをしようと工夫して「愛の無限ループ」なるプログラムを書く人がいます。本人は、よほど気に入っているようで、誰の披露宴でも同じことを書きます。実際の色紙には、/* from H.Yazawa */ という言葉も添えられています。

思わず笑っちゃう、決まり文句の辞典

　最後に、ITエンジニアの言葉ではありませんが、日本語の決まり文句を集めた書籍を紹介しましょう。「新明快！困ったときのベタ辞典（アコナイトレコード著、大和書房刊）」です。「ベタ辞典」は、全部で3巻あります。「越後屋、お主も悪よのう．．．」のように、聞いただけで状況が思い浮かぶ決まり文句が数多く紹介されています。ベタな決まり文句は、なぜか笑えますよね。