もしあなたがSolarisシステムの管理者なら,「Solaris Internals」と「Solaris Performance And Tools」はぜひ読んでほしい。

Solaris Internals: Solaris 10 and OpenSolaris Kernel Architecture
著者:Richard McDougall, Jim Mauro
出版社:Prentice Hall
価格:9686円(amazon.co.jp)
ISBN-10: 0131482092
ISBN-13: 978-0131482098

Solaris Performance And Tools: DTrace And Mdb Techniques for Solaris 10 And OpenSolaris
著者:Richard McDougall, Jim Mauro, Brendan Gregg
出版社:Prentice Hall
価格:6659円(amazon.co.jp)
ISBN-10: 0131568191
ISBN-13: 978-0131568198

 Solaris Internalsが難しいと思うなら,Solaris Performance And Toolsから読むとよいだろう。こちらは,システムの状態を知るためのコマンドや手法が紹介されていて,ちょっと試してみようという気になる。

 私はSunOSの頃から数えるとSolarisシステムの管理を20年ほどしているが,(最近少しさぼっているだけかもしれないが)知らないコマンドなどがあり,さっそく本書を手にしていろいろとやってみてしまった。

 Solaris Internalsのほうは,読んだその日から管理しているSolarisシステムがすばらしくよくなるというわけではない。ただ,読んでしばらくたったある日,システムの挙動を見ていて,突然,

「あー,これってあれなんや」

と思える日があると思う。

 私は,本書にあるZone,Resource Managementの解説は実際のシステム管理で役に立った。

 というのはZoneやResouce ManagementはSolaris 10で新しく導入された機能で,システム管理のマニュアルだけでは 感じがうまくつかめなかった。使い始めるのはすごく難しいとうわけではないのだが,自由度が高い分,その構成を決めるのが難しかった。

 しかし内部構造を知ることで,「このくらいでやってみたらどうやろ」ということがなんとなく頭の中で整理できるようになった。

 またUFSファイルシステムの解説も非常におもしろい。これでZFSファイルシステムの解説があれば最高なのだが。

 この版の翻訳はないが前の版は翻訳が出ていて,なおつか原書も翻訳版もそれぞれamazon.comとamazon.co.jpで中身を読むことができる。

旧版(amazon.comで中身を読むことができる):
Solaris Internals: Core Kernel Architecture (Solaris Internals; Architecture and Techniques)
著者:Richard McDougall, Jim Mauro
出版社:Prentice Hall
価格:8637円(amazon.co.jp)
ISBN-10: 0130224960
ISBN-13: 978-0130224965

旧版の翻訳(amazon.co.jpで中身を読むことができる):
Solarisインターナル―カーネル構造のすべて
著者:Richard McDougall, Jim Mauro
翻訳:福本 秀, 細川 一茂, 佐藤 敬, 兵頭 武文, 大嶺 朋之
出版社: ピアソンエデュケーション
ISBN-10: 4894714582
ISBN-13: 978-4894714588

 このほかに,OSの内部構造を解説した本としては,「The Design and Implementation of the FreeBSD Operating System」がある。これも名著なので読むとおもしろいと思う。

The Design And Implementation Of The Freebsd Operating System
著者:Marshall Kirk McKusick, George V. Neville-Neil
出版社: Addison-Wesley Pub (Sd)
価格:8586円(amazon.co.jp)
ISBN-10: 0201702452
ISBN-13: 978-0201702453

翻訳:
- BSDカーネルの設計と実装―FreeBSD詳解
出版社: アスキー
翻訳:歌代和正, 砂原秀樹
価格:6300円
ISBN-10: 4756146791
ISBN-13: 978-4756146793

 このシリーズの初版である「The Design and Implementation of the 4.3 BSD UNIX Operating System」には思い出がある。

 20年近く前のことだろうか。BSD UNIXはある条件でソースコードが公開されていたのが,当時の勤務先にはそのライセンスはなかった。内部構造をソースコードから知ることができるライセンスを持つ大学や企業の研究機関がうらやましくてしかたがなかった。

 思い切って参加した米国のUsenixのカンファレンスだったと思う会場で本書が売られていて,「あーこれでちょっとは内部構造が分かる」と思いさっそく購入した。さらに幸運なことに,その横に著者であるMarshall Kirk McKusickさんがいらっしゃってサインをしてもらった。

初版:
The Design and Implementation of the 4.3Bsd Unix Operating System
著者:Samuel J. Leffler, Marshall Kirk McKusick, Michael J. Karels, Quarterm
出版社: Addison-Wesley
ISBN-10: 0201061961
ISBN-13: 978-0201061963

The Design and Implementation of the 4.3 Bsd Unix Operating System: Answer Book
著者:Samuel J. Leffler, Marshall Kirk McKusick, Michael J. Karels, Quarterm
出版社: Addison-Wesley
ISBN-10: 0201546299
ISBN-13: 978-0201546293

 ここで紹介した本は,Solarisのシステム管理者,BSDのシステム管理者だけに書かれたものではない。システム管理を通じてOSに興味を持った人にはぜひ読んでほしい。

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