三年間のブログを振り返って思ったことを書こう。僕はブログというメディアを通じてなにを発信し受信したかったのか。「IT業界の営業」という視点でブログを書いてる人は、当時は皆無だったように思うし、今もなお少ない。そこでなにを書きたかったのだろう。

 結論からいうと、根底にあるのは怒りだ。IT業界に対する深い悲しみと怒りである。希望に満ちたはずの社会人生活が奈落の底に落とされたのは平成5年のことである。「なんじゃこの会社は」。「なんじゃこの業界は」。

 ITは社会に貢献する仕事だと思ってたし今もそう信じてる。でも、その仕事を真面目にやってる僕らにこの仕打ちはなんだ。僕らはまだしも一緒に仕事してるSEはいったいどうしてこんな酷いことをされなければならないのか。

 社会か、ルールか、経営か。なにが悪いんだ?
重ねて言うが「情報化社会の発展に貢献する」という立派な仕事ではなかったのか(ちなみに上のカッコ内は僕が大学を卒業後に最初に入った会社の社是の一部である)。例えば、国を守るという仕事をして心を病んだら戦場に捨てられるか?例えば火事場でケガをした消防士をリストラするか?
でもそれが当時の日本のIT業界だった。

 そんな仕事に誰が就くか。

 でも誰かがやらなければならない。そうしないと国は弱体化するだろう。
農業にも漁業にも補助金は出る。ITにも出ていた時代があるがそれはどうやら現場には回ってこなかった。誰がその金をもっていった?そのあたりをはっきりさせるべきだ。汚い連中を排斥すべきだ。

 プログラムを作ることがすきな若者が恵まれた環境で働ける世の中をつくろう。純粋にエンジニアになりたい連中が新しい技術を学び、それを社会に反映できる世の中であれと思う。

 採用担当のときは我が社のアピールそっちのけで「危険なIT会社の見分け方」を必死で学生達に話した。掲示板で有名になって某大学で話したときは近隣の大学生もきて立ち見が出たくらい。「ここへいけば搾取されてボロボロにされて捨てられますよ」と、実名は挙げなかったがかなりきわどい説明もしたからね。

 今年でIT業界の端っこに居るのが23年目。いまは営業でIT業界を良くしようと考える。みんながプライムコントラクタになれる営業力を持てばいいんだ、と考える。自社のエンジニアの、サービスの、ソフトの付加価値を最大限に認めてもらえる営業をすればいい。

 そうすれば無理な納期も、安値受注も無縁になる。そういったものに無縁になればSEは安心して仕事にうちこめる。優秀な人材がやってくる。優れたソフトができあがる。いや、もちろん間接的な話しだよ。プログラムはエンジニアが書くんだからね。

 そうなるべきだ、とつくづく思う。何の役に立つかわからないけどブログは書き続けようと思う。以上、ブロガー三年目の総括でした。

編集部より:今回の記事は,「日経ソリューションビジネス」が油野氏の協力を得て運営しているWebサイト「熱血!!第三営業部」内にあるブログ「油野達也の「達」観主義」のエントリーを編集し転載したものです。本連載に関するコメントおよびTrackbackは、こちらでも受け付けております。

油野達也の「達」観主義