• ビビリな現代の若者たちを,どうやって元気づけるか?
  • いかに勇気を出して人生の先輩方に一声をかけさせ対話させるか?
  • そして人生の深みや人間・仕事の面白さの一端を知ってもらうか?
  • 最終的に自分の人生を自ら積極的に切り開く行動力につなげるか?

 これらは,今年で3年目の明治大学商学部「ベンチャービジネス論/起業プランニング論」講師として,私がいつも頭を悩ませているテーマです。おそらく,ITpro読者の企業経営者や管理職のみなさんも,若手社員や新入社員を前にして,同じ悩みを抱えていらっしゃることでしょう。

 ようやく私が行き着いた「学生活性化策」のひとつは,「元気な経営者と一対一で会うこと。その強い意志に驚き,情熱に感化されること」でした。

 「元気の無い学生にも会ってくれる元気な大人」の集まり,経営者会報ブログの会員経営者のバックアップで,「明大生との毎週一問百答」ブログ上で学生の質問にご回答いただいています。さらに,年に2回,経営者が一同に参加する会合に学生たちを招いていただき,懇親会で積極的に対話をしてくださっています。

 ところが,ただブログを書くだけ,ただ同じ立食パーティの会場に居合わせるだけでは,シャイな若者たちと経営者が分断されて,なかなか対話が始まらないことも分かりました。

 そこで,先日開かれた経営者会報ブログのオフ会では,事前に学生たちに宿題を出して,対話を加速する仕組みを考えたのです。これが想像以上に効果的だったので驚きました。まだまだ反省する点や改良すべき点もありますが,こうした世代間交流イベント開催と事前準備の秘策をお伝えいたしましょう。

 この手法は,既に社内ブログを活用している企業でさえあれば,若手社員・新入社員と経営者・幹部社員との交流会で,きっと有効に機能するはずです。そして,若手社員を勇気付けると同時に,会社に対する理解や愛情を育んで,求心力を生むと確信しています。同時に,経営幹部の「わが経験を若い世代に引き継ぎたい」コミュニケーション欲求も大いに満たされることでしょう。

はじめに経営者会報ブログに集う熱い社長あり

 若者を勇気付けるこのプロジェクトで,一番の希少資源は「人を感動させられる熱い大人」でしょう。

 元気の無い学生たちを前にして,真っ先に頭に浮かんだのは,経営者会報ブログのブロガー仲間,特に,関西の熱い中小企業経営者の方々でした。なにしろ,人に会いすぎて半ば不感症になっている私でさえ,その情熱と個性に驚き,圧倒されるのです。

 いわんや「元気な大人」にほとんど会ったことの無い学生たちには衝撃的でしょう。学生たちにとって,経営者は雲の上のような存在で,ほとんど接する機会がありません。マスメディア上で威張っていたり,不祥事でお詫びをしていたりするのを目にするのが関の山なのです。

 しかも,経営者会報ブロガーのみなさんは,毎日のように熱いブログを書いていらっしゃいます。ですから,お会いする前もお会いした後も「より身近に感じられる」ことでしょう。

 もし,どこかの大企業の社内研修で似た試みをするのであれば,社内の幹部や管理職の中から元気印の人や,名物社員・名物ブロガーを集めればよいでしょう。社外パートナーの経営者や幹部社員を交えても有効かもしれません。

学生も自己紹介代わりのブログを開設する

 続いて重要なのは,学生たちも自己紹介や名刺代わりのブログを開設することです。

 明大での私の講義は,通称「ブログ起業論」と呼んでおり,1年にわたって自分の好きな会社や好きなもの・こと・ひとをブログで発信し続けることが課題です。ですから,参加者は,テーマも質もバラバラではありますが,とりあえず自分のブログを開設しています。

 実際に会う前に,学生が経営者のブログを読めるように,経営者も学生たちのブログを読めれば,プロフィールや人間味が分かって興味がわくでしょう。文字通り,顔が見える学生になるわけです。学生の拙(つたな)いブログを見れば,経営者ならではの感覚でアドバイスもしたくなるでしょう。

 これは,企業で幹部と若手社員の交流会をする時にも重要なファクターです。

 これからは,入社試験の一貫で学生のブログを吟味することも増えるでしょう。ブログを見れば,人間性,表現力はもちろん,根気まで分かるからです。そのブログを,会社に入っても続けるように言えば,「よく分からない若者」ではなくなります。きっと社内コミュニケーションにも役立つはずです。