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著作権の間接侵害(3)利便性の高いサービスほど「侵害行為の主体」と見なされる傾向前回は,ITビジネスにおける間接侵害の事案を検討する前提として,裁判実務に重要な影響を与えているクラブキャッツアイ事件における「カラオケ法理」を解説しました。 このカラオケ法理の考え方は,東京地裁が先月(2008年6月20日)に判決を言い渡したばかりの「まねきTV事件」にも強く影響を及ぼしています(注1)。同事件の判決文を読むと,カラオケ法理のポイントの1つである「管理・支配の要件」を検討した結果として,著作権法における送信可能化の主体がユーザーである,という判断が下されたことが分かります。 今回は,過去に裁判所で争われた事案に基づいて,ITビジネスにおいてカラオケ法理がどのように適用されているのかを検討してみましょう。
ITビジネスにおける著作権間接侵害の検討手順ITビジネスにおいて著作権の間接侵害の問題が取り上げられた事案は,数多く存在します(表1)。
これらの裁判例を見ると,ITビジネスにおける著作権の間接侵害の事案では,以下のような争点があると考えられます(表2)。
このうち,すべての事案で共通しているのが,争点1の「侵害行為の主体」です。前回説明したように,カラオケ法理では侵害行為の主体は,「管理・支配の要点」「営利目的の要件」を中心に判断されます。そこで,表1の裁判例で,これら2つの要件がどのように適用されたのかを分析してみましょう。 「管理・支配の要件」の適用 ITビジネスにおいて,IT企業が管理支配の要件を満たしているかどうかは,様々な事情を考慮して判断されています。前述した裁判例などから,管理支配の要件について,どのような事情が考慮されているのか表にまとめてみました(表3)。
この表を見ると,管理支配性を強める事情には,ユーザーの利便性を向上させるものや,ユーザーによる安全な利用を実現するために必要なものが多数含まれていることに気がつきます。つまり,利便性,安全性が高いシステムを利用したサービスほど,管理支配の要件を備えやすい構図になってしまっているのです。 「営利目的の要件」の適用 次に,営利目的の要件について検討してみましょう。営利目的で設立された株式会社であれば,何らかの形で,営利を追求しているはずですから,この要件を備えるのは当たり前のことです。具体的には,システムを利用するユーザーから利用料を得ている場合,Webサイトに広告を掲載して収入を得ている場合,システムの運用・保守費用を得ている場合などがこれに該当します。 普通に考えると,システム保守・運用費としての適切な料金を超える収入を違法行為によって得ていた場合に限って,この要件を満たすという考え方もあり得るとは思います。しかし現実の裁判例では,管理支配の要件を備える場合には,運用・保守費用を得ていたこと自体をもって,ほぼ自動的にこの要件を備えていると判断されているようです。
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以上のとおり,ユーザーにとっての利便性や安全性の高いサービスは,管理・支配の要件を備えやすくなる傾向にあります。また,管理・支配の要件を備えていると,営利目的の要件も備えると判断されてしまう傾向にあります。従って,ITビジネスにおける「侵害行為の主体」をカラオケ法理に基づいて判断すると,充実したサービスを提供するほど,結論として違法であると評価されることが多くなっています。 次回は,ITビジネスにおける著作権の間接侵害について,プロバイダ責任制限法や自動複製機器などの付随的な争点について検討します。
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著者プロフィール松島 淳也(まつしま じゅんや) |