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 2008年5月12日午後2時28分,中国南西部の四川省を中心としてマグニチュード7.8の大地震が発生しました。その揺れは2000キロメートル以上離れた中国の東北地方や隣国のベトナムでも感じられたと聞いています。この辺りは,チベットの標高数千メートル級の山々が四川盆地につながって急に低くなる地域で,これまでにも大地震が発生しています。

 テレビなどで報道されているように,甚大な被害が出ています。被害が大きかった地域は,汶川県,北川県,綿竹市など,成都(四川省の省都)の北部山間部を中心にした地域です。被災地では家屋の倒壊22万棟,損壊家屋は450万棟,そのうち校舎倒壊が7000棟近くあるとのことです。被災された方々に,謹んでお見舞い申し上げます。

都市・ハイテク区と山間部で,あまりに大きい被害の差

 一方,震源から少し離れているので単純な比較はできませんが,インフラがしっかりした成都では大きな被害はなかったようです。成都にある欧米や日本の大手企業では,生産ラインの被害,ビルのひびやガラス窓の破損などが確認されましたが,深刻なものではありませんでした。

 大地震発生の直後,中国事業に携わっている筆者の友人のところに,成都から「大きな問題はなく通常の業務をそのまま進めている」との情報が入りました。友人がすぐに現地に電話したところ,音声は聞き取りにくい状況ではあったものの,通話することができ,実際に大きな被害が出ていないことを確認できました。また,成都市南部の出身の知人からは,家族からの連絡によれば「建物は揺れたが大きな被害は出なかった」との話を聞きました。

 友人たちの話を聞き,成都と四川省山間部では,インフラの質に大きな違いがあることが分かりました。

 これを知り,筆者が以前から考えていることを改めて思い起こしています。それは「中国は多様な国である」,そして「中国は変化しているが,変化と不変化の両方を見抜くことが大切だ」ということです。中国との仕事に長年携わってきた経験から,そう感じています。

 この辺の現地事情を,もう少しお話したいと思います。