「XDevって何て読むのですか?」

 昨年のXDev第1回以来,多くの方からいただく質問です。答えは「クロスデブ」。「X」は「X-over(クロスオーバー)」の頭文字なので「クロス」と読むわけです。

 とはいえ,クロスデブと読まずに「エックスデブ」でも「ペケデブ」でもかまいません。皆さんがお好きなように発音していただいていいのです。

 ただ,皆さんが「XDev」という文字やロゴを見たときに「ああ,たしかソフト開発のイベントで,クロスデブって読むのだよな」とちょっとでも思い出していただければうれしいです。

システムを「つくる」から「育てる」へ

 さて,今回は本年開催のXDev2008のテーマについて説明したいと思います。

 XDev2008では,「持続可能なシステム開発を求めて」というテーマを掲げます。「持続可能」なんていうと,勘がいい方は,地球環境問題を連想されるかもしれませんね。XDev2008ではストレートに環境問題を論じるわけではありませんが,システム開発という切り口から「持続可能」ということを見ていきます。

 ちょっと考えてみてください。ソフトウエアやハードウエアなどのリソースを,私たちはシステム開発の現場で有効に活用できているでしょうか。

 システムを「つくる」ためのリソースは有限です。無尽蔵にあるわけではありません。さらに,ITの世界でもっとも重要なリソースともいえる開発者を私たちはきちんと育成できているでしょうか。動かないシステム,デスマーチ,3Kなど,残念ながらIT業界にはあまり明るい話題は聞こえてきません。このままでは,開発者はもちろんITを有効活用できずにユーザーも疲弊するばかりです。

 かといって,社会インフラ,ビジネス・インフラとなった情報システムを止めるわけにも,その開発をやめるわけにもいきません。私たちは,「システム」と「システム開発」そのものを持続可能(サスティナブル:Sustainable)にしていく必要があるのです。

 そこで求められるのが,リソースを有効活用し「システムを育てていく」という視点です。「つくる」のではなく「育てる」のです。「持続可能なシステム開発:Sustainable System Development」は,それを象徴したキーワードというわけです。

 XDev2008では,「持続可能なシステム開発」というキーワードを,

・システム開発が破綻せずに“持続できる”ための「円滑なシステム開発」
・ビジネスや技術の変化にシステムが適応する「環境に適応するシステム」
・もてなし/思いやりのインタフェースを持った「人にやさしいシステム」

の三つのカテゴリに大きくブレークダウンして考えていきます。

持続可能なシステム開発

 「円滑なシステム開発」というカテゴリには,アジャイル,設計,品質といった人材やシステムをつくるためのキーワードが当てはまります。ユーザーが納得するシステムを,開発者の過大な犠牲なしに作るにはどうしたらいいか,どうしたら持続可能にできるのかを考えます。

 「環境に適応するシステム」には,SOA,SaaS,仮想化といった旬なキーワードが入るでしょう。激変するビジネス環境に対応していくには,部分最適ではなく全体最適の視点から,変化に柔軟に対応できるアーキテクチャが求められます。一度作っておしまいではなく,システムを持続・成長させていくための基盤や仕組みを考えます。

 三つ目の「人にやさしいシステム」はやや聞きなれないかもしれませんが,RIA(リッチ・インターネット・アプリケーション)に代表されるUI(ユーザー・インタフェース)がテーマです。システムに「機能」を求めるのは当たり前。これからはそれにプラスアルファで,「使っていて気持ちいい」「ストレスがない」という,もてなし/思いやりのユーザー・インタフェースを用意することが求められます。そのために画面や帳票はどうあるべきか,デザインはどうあるべきか,長くシステムを使い続けるための視点を考えます。

 これらを整理すると,
「作りっぱなし/今動けばいい/機能優先」
という価値観から,
「育てる/動かし続ける/機能+喜び」の価値観へ
変わっていくために何ができるのか,ということを考えていこうというわけです。

 ぜひ皆さんもこれを機会に,「持続可能なシステム開発って何だろう?」と考えてみてください。では,またお会いしましょう!