2008年1月30日と2月1日の2日間,東京ビッグサイトで開催されたITpro EXPO 2008で「CRM探し」を試みた。ITproの編集から記者証を出してもらって,勝手気ままに会場を歩き回った。1月30日は半日をかけて会場をざっと見て,2月1日には気になる話題を追った。

知らない言葉の大洪水,例えば仮想化

 1月30日はIT業界とはまったく無縁な知人を誘い出して,彼と一緒に会場を歩いた。一緒に会場を歩いているとき,彼に何かを解説することは一切しないという約束で。別れ際,彼が一番強い印象を受けたものを聞きたかったからだ。

 その知人は,「仮想化」が印象に残ったという。私にもよくわかっていないが,プレゼンテーションを聞いた範囲では,どうもICTシステムのリソース(資源)を最適化するコンセプトのように思えた。巨大ICTシステムを所有・運営するユーザーが考えなければならないことのようだ。用途ごとにサーバーが必要だという時代は,終焉を迎えているのだろう。

 仮想化を実現する製品はいくつあり,中でも「VMware」なる企業の製品が注目を集めていることも分かった。VMwareの製品一覧を眺めていると,「VMwareは仮想化技術でITインフラの最適化に貢献します。仮想マシン,仮想サーバ,仮想PCといったVMwareのソリューションは,開発環境からデータセンターにまで対応し,サーバ統合,ソフトウェアライフサイクルの最適化,事業継続性といった課題を解決する」とあった。

 仮想化の目的には,サーバーの統合,ソフトウエアライフサイクルの最適化,そして事業継続性の確保(高信頼性確保とかディザスタリカバリー)というような複数があるようだ。サーバーの台数を減らしたいのであれば,サーバー統合以外にSaaS(Software as a Service)の利用も考えられるだろう。

最新知識は誰がどのように伝えているのだろうか

写真1●日本ネットワークアプライアンスの展示ブース。事前の学習が欠かせないと実感した
写真1●日本ネットワークアプライアンスの展示ブース。事前の学習が欠かせないと実感した
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 展示場では,日本ネットワークアプライアンスの方からも,仮想化の話を聞かせてもらった。展示パネルに「VMware環境にNetAppが選択される理由」なるものが掲げられていて,そこには私にとって未知の言葉がたくさん並んでいた(写真1)

 私がレガシーシステムを運用管理していたのは,もう15年以上も前のことになる。その当時,ディザスタ・リカバリ計画を策定したことをしばし思い出しながら,担当者の話を聞いた。

 VMwareとNetwork Appliance(NetApp)の製品があれば,サーバー運用管理の負担が当時よりも随分と軽減されることはよくわかった。NetAppは,ネットワークアプライアンスという社名の通り,自社製品が家電製品(アプライアンス)のように簡便に接続(ないしはインストール)してすぐに使い始めることができると謳(うた)っている。

 ただ,私には一抹の不安がある。例えば,今,私が使っているパソコンは約65Gバイトのハードディスクを実装している。では,個人が専有するパソコンには,いったいどれほどの容量のハードディスクが必要になるだろうか。

 大容量のハードディスクを備えていると,サーバーから顧客情報などの巨大ファイルを丸ごとダウンロードできてしまう。だから,情報漏えい対策という観点から考えると,顧客情報にアクセスするパソコンは必要最低限のディスク容量にすべきだ。その一方で,Windowsはハードディスクにページファイルを作成するから,必要最低限のハードディスク容量は,メモリーサイズや稼働させるプログラムの数,サイズとも関わってくる。だから簡単には決めづらい。いっそのこと,個人のパソコンにデータを残さないようにシンクライアントを使うやり方もある。だが,そうなるとサーバーが必要とする処理能力は飛躍的に増える。

 昔は,ベンダーが教則本を持ってきたり,セミナーを開いて,こうしたことを説明していた。新しいマネジャは,着任するとそうしたセミナーに参加した。今,こういう知識はどこで誰がどのように教えているのだろうか。

 VMwareとNetAppに関しては,その説明が専門家の間だけで伝わるのではなくて,多くのユーザーにも分かりやすい言葉と説明で伝わることを願うばかりだ。