先日,私が1年間講師を務めました明治大学商学部「ベンチャービジネス論」「起業プランニング論」(略称「ブログ起業論」)の今期最終講義,受講生による発表会が終わりました。このブログ起業論は,受講生が「自分の好きなヒト,モノ,コト」などをブログで発信=ネット行商しながら,「経営者をはじめとするプロのビジネスパーソン」と交流=ご縁を結ぶ,実践的で参加型の授業です。

 ここで,1年間ブログを書き続けることができた完走者が「どのように変わったか」,最後の講義で一人ひとり自分で語ってもらいました。学生たちが語ったそれぞれの「ブログ効果」は,おそらく学生でなくとも「十分に体感しうる成果」でしょう。

ブログを1年続けられる人は今年も2割に届かず

 今年で2年目を迎えるこの講義も,前後期共に受講して,最終的に完走した学生は,わずか8名でした。当初は,60名近くの履修申告者がいましたが,回を重ねるごとに脱落していったのです。特別に厳しいノルマを課したわけではありません。ただ,自主性に任せた上で,毎週のように経過報告をお願いした結果,2割弱にまで絞られてしまったのです。

 残念ながら,昨年も似たような完走率でした。どうやら,ブログを書こうと決意したところで,自主的に「書き続けられる人」,さらにはブログやメールを活用して「縁を広げ深められる人」,ブログで「情報発信する意義を体感できる人」の割合は2割弱に収斂(れん)するのかもしれません。これは,普及学で言うところの,イノベーター,リーダー層の比率とも重なるのは興味深いところです。もともと,知的好奇心が旺盛な上,第三者に影響力を及ぼしうる潜在力を持っている人と,ブログを存分に活用できる潜在力を持っている人が重なるのでは,と考えたくもなります。

 しかし,長期的に考えると,2割どころか,もっと厳しい比率に絞られていくのでは無いかと予感します。ブログ起業論が面白そうだと飛びつく人が2割,そのうちブログを実践できる人が2割,さらに成果が出始めるまで3年5年10年と続けられる人が2割,それをライフワークと結びつけて当たり前の習慣として生涯続ける人が2割…。

 そうなると,せいぜい1000人に1~2人ということになり,これはブログうんぬんに関わらず,夢の中身はともあれ「自分の道を貫く成功者」の確率とも重なりそうです。これこそが「ブログ格差社会」を生み出す構造そのものなのかもしれません。