9月21日号で英語のプレゼンテーションで使えそうな決めセリフをご紹介しましたが,今回はその続きです。

How to keep the audience’s attention?
(相手の心を惹きつけておくには?)

 アメリカ人は概してプレゼンが上手だと言われていますが,彼らから学べる(盗める?)ワザを探してみました。

Do not read the text on slides.
(スライドの棒読みはやめよう)

 スライドに書いてあることを丸ごと読み上げるだけのプレゼンほど聞いていて退屈なプレゼンはありません。それに,日本人が一行目を「発表」している間に聴衆は1ページ分を黙読してしまいます。外国人が変な日本語で書かれたプレゼンをたどたどしく読み上げているのをイメージしてみてください。それと同じことです。

Explain what is not written on the slide.
(スライドに書いてないことを説明する)

 相手の注意力を惹き付けておくには,スライドには大項目を書き,大事な点のみを指摘し,あとはスライドに書かれていない詳細情報を口頭で補足すれば,目と耳から倍量の情報が提供できる効果的な方法です。

Practice your presentation many times.
(リハーサルは念入りに)

 資料を作成しただけで,準備ができたと思い込んでいませんか?ぶっつけ本番,アドリブでしかも英語でプレゼンできるレベルの人は少ないです。正しい英語に推敲した原稿をあらかじめ用意しておくことは発表するための秘訣です。

 ただし,下を向いて蚊の鳴くような声で原稿をぼそぼそと,つかえながら読んだのでは逆効果です。何度も何度も練習して,読み原稿を暗記してしまうくらいリハーサルしてください。聴衆としっかりとアイコンタクトを取り,相手の反応を確認しながら,会場の後ろに座る人にもよく聞こえるような大きな声ではっきりと発声する,強調したい点や大事な点は特に大きな声でゆっくりめに話しましょう。

 ボディランゲージは控えめでも,アイコンタクトとスマイルだけで十分に相手の注意を引き付けることができます。

Make eye contacts with the audience to ensure they are with you.
(アイコンタクトを取りながら,相手の注意を逸らさないようにする)

何を言いたいのか,焦点を明確に

Stay focused.
(要点を明確に。余計なことは省く)

 機能開発要求やバグフィックスのプレゼンテーションなのに,イントロとして会社概要や市場動向を説明するのはダメ。焦点がぼやけてしまいます。何のための会議なのか,何を目的としたプレゼンテーションなのかをしっかりと意識し,要点から脱線しないようにすれば,論旨の明確なプレゼンにすることができます。

 下手なプレゼンテーションは,要するに何を言いたいのか,何が結論なのかがはっきりしていないことが多いです。ステーキを期待していたのに,幕の内弁当が出てきたなんて言われないように,無駄を省き,焦点をしっかりと絞り込みましょう。

Put the conclusion in one sentence.
(結論を一行にまとめる)

Make it personable, interactive, and fun to listen to.
(聞いていて楽しい対話型のプレゼンにする)

 聴衆の関心をそらさないようにするには,相手を引き込む,即ち参加型(インタラクティブ)にするのが近道です。

 アメリカ人はどんどん質問してくるので,“Any questions?”なんてセリフは使うチャンスがないかもしれません。聴衆からの質問に何らかの形で応答できれば,それはもう立派なインタラクション。相手のハートをしっかりとキャッチしていますよ。そのためにも,想定される質問にはしっかりと回答を用意しておきましょう。

 アイコンタクトやスマイルはpersonableの必殺技。成功確率100%です。ジョークなどで笑いが取りたいと思っている人は,「たとえ」や「比喩」を活用すると簡単です。

My presentation has redundancy built in. In case you ask me challenging questions, I will failover to Mr. Nikkei.
(このプレゼンテーションは冗長構成になってるんです。難しい質問が出たら,日経さんに切り替わりますから)

My English is not good, but I can write a great program in C language.
(英語は苦手ですが,C言語ならすごいプログラムが書けますよ)

 会議の議題,対象製品,流行のテクノロジーなど,ITの分野は比喩のネタが豊富です。英語が得意な方なら,「インテルはいってる(intel inside)」のような韻を踏んだ語法(pun)も効果的ですね。

 その他,プレゼンテーションの時に使える便利な表現としては次のようなものがあります。

Just for my curiosity,・・・
(関係ない質問かも知れませんが・・・)
(基本的な質問で恐縮ですが・・・)
のように,枕詞として使えます。

For your information,・・・
(ご参考までに・・・)
という意味です。補足説明する時の切り出し文句。
 電子メールではFYIと略されることがよくあります。

That’s a very good question.
(鋭い質問ですね)

 この表現は答えにくい難しい質問を受けてしまった時に使えます。

Can I take it as an action item and get back to you later?
((即答できないので)アクションアイテムとしてお預かりできますか?後ほど解答いたします)

 日本人はプレゼンが下手と言われていますが,私に言わせれば準備不足が一番の原因。資料は作成しただけで,推敲していないのではないですか?うっかりのタイプミスは漢字の変換間違いと同じですよ。読み原稿は,ちゃんと音読してリハーサルしましたか?

 プレゼンテーションが上手になる秘訣は,一に練習,二に練習なのです。