去る2007年10月8日に「日本を明るく元気にする,日本を和ませるブログ」を表彰する「第2回CANPANブログ大賞」の授賞式が開催されました。CANPANは,日本財団がNPO/NGO(非政府組織/非営利組織)などの公益法人や個人の社会起業家向けに無償で提供している公益情報発信のためのインフラです。CANPANブログ大賞は,情報発信・交流を通じて感動と活動の輪を広げた公益ブロガーを応援する意義深いイベントです。

 その社会的意義に賛同して,私は創設時からCANPANブログを応援しています。そして現在は特定非営利活動法人CANPANセンターの一理事としてCANPANブログ大賞の審査委員長も拝命しています。

 第1回となる昨年の審査結果も当コラムでご紹介しました。2年目の今年は「発信するブロガー数」も「愛読する訪問者数」も増えました。テーマも記事もバラエティーに富み,内容に深みが増して,審査員一同,深く感銘を受けたのです。それは「心のきれいな公益ブロガー」が綴(つづ)る「当たり前の日常」の中に,多くの人たち忘れかけていた「大切な何か」を感じたからです。

 そして,早くも賛同者を増やして活動の輪を広げたり,活動資金を集めて夢を実現する人たちが現れはじめたのです。

第2回CANPANブログ大賞 受賞ブログ一覧


グランプリ
   ブログ名:介護ひまなし日記
   著者名: 社会福祉法人ワーカーズコレクティブとも
   URL:   http://blog.canpan.info/tomo/

教育賞
   ブログ名:NPOろう学校をいっしょに創ろう!ブログ
   著者名: 玉田雅己
   URL:   http://blog.canpan.info/tamatama/

国際賞
   1)ブログ名:アジアで学校をつくる
     著者名: AEFA アジア教育友好協会
     URL: http://blog.canpan.info/aefa/

   2)ブログ名:雲南の郵便屋さん
     著者名: 初鹿野恵蘭
     URL: http://blog.canpan.info/yunnan/

自伝賞~ セルフポートレート~
   ブログ名:STILL ALIVE
   著者名: まいける東山(東山高志)
   URL:  http://blog.canpan.info/ideaeast/

地域賞
   ブログ名:鶴ヶ島市社会福祉協議会
          つるがしまボランティア・まちづくりセンターつながり日記
   著者名: 鶴ヶ島市社協
   URL:   http://blog.canpan.info/t_chiiki/

NPOサポーター賞
   ブログ名:NPO会計道
   著者名: 脇坂誠也
   URL:   http://blog.canpan.info/waki/

福祉賞
   ブログ名:虹っ子広場
   著者名:(特活)みやぎ発達障害サポートネット
   URL:   http://blog.canpan.info/mddsnet/

▼YouTube動画:ブログ大賞受賞者のスピーチなど 

今年のグランプリは「介護ひまなし日記」

 今日,ミクシイなどのSNSでも「最も真剣で深い議論が交わされる」テーマの一つであり,「言いたいけれど言いたい悩み」「実は誰もが抱えている悩み」の代表格は「介護問題」でしょう。誰かが悩みを打ち明けると,実は私も私も…,と告白が続くことがあります。「身内の介護に疲れ悩んでいる方々」が思いのほかたくさんいらっしゃることに驚かされるのです。

 今回のグランプリは,実母が四国の松山に介護施設で働く永和里佳子さんが綴(つづ)る「介護ひまなし日記」でした。ご一読いただければ,どんな状況にあっても喜びを感じ,感謝して学び続ける若い人々がいらっしゃることに驚き,ほっとし,また考えさせられるでしょう。

 わが家でも,数年前より祖母が寝たきりとなり,最後は要介護度5と最も深刻な介護状態になりました。そして,CANPANブログ大賞の数日後に介護施設で息を引き取りました。ですから,介護の数年間,祖母が,そして家族がどうなったか,どんな心理状態に至ったかは,少なからず実感しているつもりです。決して,美しいことや,人に言えることばかりではありません。時には人として恥じる思いを抱くこともありました。

 そんな中で,介護の現場にいらっしゃる方々の献身的な努力で,どれだけ救われたかしれません。本当に頭の下がる重いでした。その仕事の厳しさからか,中には,ちょっと首をひねりたくなる言動をされる方もいらっしゃいました。しかし,それも現場の厳しさを考えれば無理もないことなのかもしれません。

 だからこそ,「介護ひまなし日記」は心に深くしみいりました。いったい,このブログをどんな人が書いていらっしゃるのだろうと思ったのです。

 そして,授賞式の前に控え室で永和さんに初めてお会いした時には,心底驚きました。あまりに華奢な体…,繊細で物静かな若いお嬢さんだったからです。あらゆる職場の中でも最も気力と体力を必要とするかもしれないあのタフな介護の現場に,似つかわしくないように見えたのです。

 しかし,受賞スピーチやパネルディスカッションでとつとつと語る「痴呆のご老人たちとの心の交流」のお話を聞いて,その印象は一変しました。慈愛の心と,たくましさ,しなやかさとを兼ね備えていらっしゃったからです。永和さんは,まさに「自分の実体験と素直な思い」を自分の言葉で語る人だけが放つ「輝き」に満ちていました。私は,祖母の姿を思い浮かべながら,傍らで涙をこらえるのに必死でした。かけつけてくださった大勢の聴衆もおそらく同じ気持ちだったでしょう。