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上手な「通訳」の利用法,教えます秋の学会,カンファレンスシーズンの到来です。そこで今回は上手な通訳の使い方についてアドバイスしますね。 私は会議通訳として,通常は通訳業務を依頼される立場にあるわけですが,時には顧客の代理人としてまた通訳チームリーダーとして通訳を手配することもあります。発注する側とされる側の両方の立場から,これまでの経験で気が付いたポイントをご紹介します。
(1)タイムマネージメント
(2)連絡先 米国企業(ベンダー)と日本企業(顧客)の打ち合わせの場合,ベンダー米国本社,ベンダー日本支社,顧客米国支社,顧客日本本社,通訳斡旋会社,通訳斡旋会社の米国支社または下請けの米国現地旅行代理店,会議通訳と,関係者が数社もかかわることもあるのです。伝達ゲームの途中でコミュニケーションに滞りが出ないようにしたいものです。 最近は,ふだん日本で使っている携帯電話も国際ローミングで使えるようになりましたが,逆に米国国内からは「国際通話」になってしまいます。(私のように)携帯電話からの国際通話を契約していないと,受信はできても発信はできないということにも注意が必要です。
(3)会議資料と事前打合せ 通訳の立場から言うと,抄録や要約はあくまでも発表のポイントし書かれておらず,準備資料としては不十分です。パワーポイント資料は,効果的に作成されていれば,それから発表内容を推し量ることができますが,残念ながら日本人が作成するPPT資料は,予習資料としては不十分なことが多いです。図表や写真ばかりの発表資料もあり,そのような場合は完全にお手上げです。 通訳はその分野の専門家ではありません。商談でも話の経緯や背景を知らないことがほとんどです。でも通訳に話が見えていないと,正確な通訳をしてもらえないどころか,話が全く通じなくなってしまうことすらあるのです。通訳が会議の足を引っ張ることのないようにご協力ください。
(4)発表の速度 前述の学会は,『歴史とGIS』というテーマで,歴史学者,文化人類学者が集まった会議でした。そこへ,データセキュリティについて,マイクロソフト社研究開発センターに勤めるインド人が発表したのです。学会参加者はITの門外漢ばかり。IPSecだのSSLだの言ってもIt's all Greek to them! しかも,インド訛りの英語を超早口でまくし立てるという有様でした。 発表は,聴衆に理解してもらえて始めて意義が出ます。いくら立派な発表をしても,相手に通じなければ何もなりません。聴衆が理解できる言葉で,聴衆が聞き取れるスピードで話すこと。これは発表者たるものの心得です。特にそこに通訳が入る場合,通訳は内容を把握し,発表者の言葉のスタイル(フォーマルかインフォーマルか等),比喩,ジョーク,感情や雰囲気などを即座に判断し,それらをできる限り表現しようとするのです。しかも別な言語で。 これだけいくつもの処理工程が入るのですから,その分の処理時間を通訳に与えてあげてください。そう,あまり早口にならないで,というお願いです。相手に含み聞かせるようなテンポがベストです。
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著者プロフィール臨床医学を目指し、単身アメリカへ渡米。85年にカリフォルニア大学サンフランシスコ校(UCSF)小児精神科看護修士課程を卒業するも、運命の糸に導かれ、会議通訳の道へ。政府間交渉や官公庁をはじめ、主にIT業界において20年にわたり会議通訳を務める。「自然で専門的レベルが高い」通訳にはファンも多い。2003年にグレースコンサルティング設立。業務/経営コンサルティングへ守備範囲を広げる。名古屋大学大学院地球科学学科非常勤講師。 |