戦後の一時期,日本は品質管理を武器に「ものづくり」を中心に国際的な地位を固めることに成功しました。しかし,それを支えた労働力と消費者は,もはや国内ではまかなうことが難しい。これは一つの見方です。

わが国の「人口ピラミッド」

 最新の全国統計としては,平成17年の国勢調査の結果(資料は総務省統計局)があります。下図のとおりです。

 相変わらず出生率が人口の維持に必要な数を超えていない状況からすると,日本の人口が8000万人どころか6000万人程度に落ち込む将来も現実になりかねません。

 15歳以上の就業者を中心とした労働力人口も既に12年前のピークから下落を辿っています。
このことを知るには,総務省統計局のデータを御覧ください。

経営戦略の立案に主体的に参画するCIO

 マーケティングが派手なPRを繰り返したり,無限の市場と労働力を前提とした経営戦略を検討する時代は,わが国では既に過去のものになっていないでしょうか。

 21世紀を進む経営の舵取りは,確実に行う必要があります。外に向けてのもの,内に向けてのもの,いずれも経営目的や使命から,見直しても良いはずです。

 「『断絶の時代』における起業家の時代(ドラッカー著)」を知ることは,極めて重要だと思います。

 この起業家精神を経営者の一人であるCIOが発揮し,経営戦略の立案に主体的に参画することが,望まれていると言えるでしょう。

将来に向けてCIOが備えること

 将来に備え中期的にCIOは,何をすべきでしょうか。以下にあげます。

(1)ITを活用した経営戦略の見直しと立案
(2)全社的ITガバナンス体制の確立
(3)従業員の「情報リテラシー」教育の推進
(4)IT部門の内部統制の早期確立
(5)中期的な自己啓発

 この中で,一番重要なものは「(5)中期的な自己啓発」でしょう。なぜなら,(1)~(4)について自ら主体的に取り組み成功させるための原動力となるものです。

■■ CIO川柳コーナー ■■

 前回の川柳である「本稼働 今日は トップの晴れ舞台」を説明します。

 本稼働を迎えるにあたり経営トップの心境は,複雑です。

 情報システムの構築が,予定通りに行かなかった過去や,テストが完璧であるかなどの不安などを抱えているからです。

 経営トップが晴れ舞台とする情報システムの本稼働は,対外的な情報システム,例えば顧客に利用してもらうもの,取引先に利用してもらうものなどが対象の場合が多いものです。
 
 現実には,もっと大きな不安を抱えているかもしれません。「3カ月後に何か『情報事故』が起らなければ良いが」と。

 経営トップが誇る本稼働の場では,CIOの能力が試される場でもあります。「経営トップの不安を取りのぞくことのできる情報システムを構築する」ことの重要性を改めて実感いたします。

 次の句は次回に説明します。皆様も,考えてください。