この連載の3月30日号で,ミッキーの英語完全攻略法として5つのアドバイスをご紹介しました。今回はその続きです。普段の勉強法に一工夫,加えてみましょう。あまり苦労せずに,日本人がよく陥るミスを減らし,英語力の向上につながります。

(1)名詞を覚える時は,可算語か不可算語かを意識して覚える

 可算語であれば,冠詞が付きます。例えば,computer system の“system”は可算語なので,a system や computer systems と覚えます。一方,network equipmentの“equipment”は通常,不可算語なので,「equipmentsはNG」と覚える。同様に,softwareは不可算語なので,「softwaresはNG」。同様にprogramは可算語なので,a program や application programsと複数形も覚える。このように,sを付けて複数形が作れるかどうかを併せて覚えるようにすれば,日本人の苦手な冠詞が攻略しやすくなります。

 もっとも,可算語としても不可算語としても使われる名詞が少なくないのが悩みの種です。音読を繰り返し,フレーズ単位で丸覚えするのも一案です。

(2)単数か複数かを意識する

 日本語は,あまり単数か複数かを意識しない言語です。例えば「性能試験を実施しました」という時に,“A performance test was conducted.” にすべきか,”A series of performance tests were conducted.”にすべきか,めったに迷うことはありません。その点,英語は,主語も目的語も,単数か複数かが明確です。特に主語は,動詞の活用に影響しますので単複の区別は重要です。

 逆に,英文を和訳する際にいちいち「一つの」とか「いくつかの」を添えて訳すと,非常に重たくて不自然な日本語になってしまいます。例えば,I submitted the test report.を訳す時,「試験報告書を提出しました」というのが自然な日本語であって,「私は,一通の試験報告書を提出しました」とは言わないのが普通です。

 これを念頭において訳書を読んでみて下さい。時々,「私は」とか「あなたは」,「一つの」「いくつかの」を手抜きせずに訳出している例に出くわします。その日本語に違和感を感じるようになったら,あなたの英語力がワンランクアップした証拠です。

 以上の2点を意識して,次の文を英訳してみて下さい。

現在,位置検出システムの誤差は数メートル程度であり,物品管理や安全管理にも十分有効な稼動レベルにあります。目下,実用化に向けて,人・モノ・プロセスのミスマッチ をどのようにモニタリングするのか,また,機器の稼動状況と位置の組合せでどのような運用サービスの提供が可能かについて,事象解決を図る実験を積み重ねています。

 まず名詞だけ拾い出してみましょう。各々は単数でしょうか,複数でしょうか? 英訳した単語は可算語でしょうか,不可算語でしょうか?

・位置検出システム(location detection system)
・誤差(error, accuracy)
・精度(precision, accuracy)
・物品管理や安全管理(asset management and safety management)
・人,モノ,プロセス(people, items, processes)
・ミスマッチ(mismatch)
・機器(equipment, devices, machines)
・位置 (location, position)
・運用サービス (operations services)
・実用 (commercialization)
・事象解決 (problem solving, solutions)
・実験 (experiments, trials)

【英訳例】
The error of the current location detection system is several meters and this is good enough for asset management and safety management. Experiments are being repeated to determine how to monitor the mismatch of people, items and processes, as well as what operational services can be created when the operational state of a device and its location are known.

 このほか単数/複数で間違えやすいのが「データ」。data は実は複数名詞で,単数形はdatum。従って本当はThese data are publishedと言わなければいけないのですが,慣用的にThis data is publishedということもよくあります。

 また,インデックス(index, indices), クライテリア(criteria, criterion),インフォメーション(不可算語)などが,よく誤って使われているのを見かけます。