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要求開発アライアンスのビジネス・モデリング道場

要求開発アンチパターン(1)

──あなたのプロジェクトは要求不在になってませんか?

2007/04/26

 言うまでもなく,ビジネス環境の厳しい変化と,ITの急速な技術革新の中にあって,ビジネス価値を高めるシステム構築を実施することは,決して簡単なことではありません。皆さんの周囲には,要求が明確でないまま,コストと時間ばかりかけている「要求不在」のシステム構築プロジェクトはありませんか?

 「要求開発アライアンス」は,要求開発方法論(Openthology)を検討・公開することによって,ビジネス価値を高めるシステム構築の実現を支え,「要求不在」のシステム構築プロジェクトを撲滅(?)しようと努力しています。しかし,プロジェクトの現場ではいろいろな問題があるようです。

 今回と次回の2回にわたって,要求開発がうまくできていないプロジェクトのありがちな症状を,アンチパターンとして紹介します。

パターン1「レガシーシステム・パラノイア」
レガシーシステム・パラノイア
レガシーシステム・パラノイア
症状:
 既存システムに縛られるあまり,新しい発想や要求が発生しない

例:
・長年にわたって既存システムを使っていると,そのシステムを前提とした要件しか出てこなくなる
・オープン技術を使ってシステムを再構築しても,以前のシステムとほとんど変わらない
・ERPパッケージ・システムを長年使っているうちに,業務がパッケージの仕様に縛られるようになってしまっている

治療法:モデリングによるギャップ分析
 近視眼的な発想から離れるためにも,AS-IS(現状の姿)とTO-BE(あるべき姿)のモデルを作成し,それらのギャップを明確にして,あるべき姿のために業務とシステムをどのように変えなければいけないかを確認する(参考記事「なぜモデリングするのか」)。

解説:
 多くの企業では,十年以上稼働しているレガシーシステムを今でも運用/メンテナンスしており,新しい業務ニーズや技術の革新に対して十分に対応できなくなっているケースを散見します。こうした現行システムの良いところを生かしながら,次のあるべき姿としての要求を明らかにするためにも,要求開発のモデリングが有効なのです。


パターン2「要求過剰症候群」
要求過剰症候群
要求過剰症候群
症状:
 戦略や業務ニーズに対応するために,新しい「要求」を取りまとめようとするが,あまりに多数の要求が発生して,時間が虚しく過ぎていく…

例:
・現場から山のように寄せられた「要望」の整理だけで手が回らない
・過去の「要求」バックログがたまる一方
・「要求」をすべて実現するだけの予算もない

治療法:要求の取捨選択(トリアージ)
 限られた時間と予算の中で,効果の高い「要求開発」を行うためには,要求の取捨選択(トリアージ)が必要とされる。こうした要求の取捨選択の具体的なアプローチについては,「ビジネス価値を高めるためのビジネス戦略トリアージと要求(1)」を参照願いたい。

解説:
 要求開発によって高い効果を迅速に実現するためには,取捨選択による「要求」の絞りこみが必要になってくる。実際のプロジェクトでも,膨大な数の要求を検討して,具体化するまでに1年以上の期間がかかった例がある。

 次回も,筆者自身の懺悔の念も込めて,アンチパターンを紹介したいと思います。

(細川 努=要求開発アライアンス理事)

著者プロフィール

 「要求はあるものではなく,開発するものである」---。要求開発アライアンス(旧ビジネスモデリング研究会)は,ビジネス的な価値を生み出す情報システムのシステム要求を体系的に開発する方法を求めて結成された団体です。理事に名を連ねるのは,いずれも日本におけるビジネス・モデリングを引っ張ってきた方ばかり。共同で書籍「要求開発」(日経BP社発行)も執筆しています。このコーナーでは,企業の戦略とITを融合するための技術的アプローチについて広く話題を提供していきます。

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