ずいぶん前になるが、これは東海村でウラン溶液のバケツリレーやってたら臨界事故を招いた事件のときに柳田邦男が評論していた内容だ。「そもそも『これをやったら、こうなる』という推理をしながら、やらないからこうなるわけだ。『幼児がうるさいから殴ったら、死んだ』とか『いじめてたら自殺した』とか。最近の日本人は想像力が欠落している」とかいう話だった。

仕事でも同じことで、「電話しなけりゃこうなる」とか「説明しなけりゃこうなる」とか思うわけだ。「だから、どうしてそれをやったら(もしくはやらなかったら)どうなるか想像してみなかったのだね? こうなることは火を見るよりも明らかではないか」とプリミティブな失敗をやらかした某君に昨日説教をしてたら・・・

「自分はそういうのが苦手なんです。想像力が乏しいんです。どうすればできるようになりますか?」と聞かれた(ってか逆ギレ?)。それで、僕なりの回答を書いておく。
「おまえが仕事だと勘違いしているそのつまらない一連の作業をやめてみろ」

気がつかないのは心に余裕がないから。
まず、つまらない作業を後回しにする。
(つまらない一連の作業とは自分の判断がはいらない、自分の責任にならない、誰かに頼まれてやってるナニカだよ)

そうすると時間があく。

・・・空いた時間で考えろ。
「なにを、ですか?」
そうだ!なにを考えるべきか、から考えるのだ。
つまらない作業はそのあとでやればいい。
まず机の上を完全に空にせよ。なにも置くな。

これは結構難しい。つまらない作業をやっていると不思議と充実感がある。遅くまでやって、おれ御苦労さん感がある。一時間、二時間、びっちり作業をしてると仕事ガッツリ感がでてくる。そもそもつまらない作業は着手しやすい。
…これに逃げるのだな、人は。

方や机の上になにも置かずに腕組みをして「うーん」と唸る。
周りからみると全く仕事してない。
でもこれが大事なんだ。君にはね。

臨界事故はどこでも起きうる。気をつけろ。

■変更履歴
「プルトニウムのバケツリレー」としていましたが、「ウラン溶液のバケツリレー」です。お詫びして訂正します。本文は修正済みです。 [2007/08/03 10:46]