「ミッキーさん,どうやって英語ができるようになったのですか?」──こんなご質問を受けることがよくあります。

 実は私だって,いまだに「英語ができる」と言えるほどの自信はないのですよ。もともと語学の才能があるわけではなく,まじめにコツコツ勉強するタイプでもない。学生の頃は英検1級を目指していましたが,結局4級で挫折。TOEICがまだなかった頃でした。何か手っ取り早く英語ができるようにならないかといつも考えていました。

 そんな私が英語に正面から取り組み始めたのはアメリカに移ってから。足切り線がクリアできた程度のTOEFLの点数では,とても大学院の授業についていくことはできません。それどころか,普段の生活の中でも,銀行窓口での会話ができない,掃除機が壊れたとクレームをつけることもできない,ラジオを聴いてもちんぷんかんぷん,怖くて絶対に電話に出られないという状態が2~3年は続いたでしょうか。

 それでも今や,何とか英語圏でサバイバルしています。どうしたら初めの一歩が踏み出せるのか,私流のやり方ではありますがご紹介しますね。参考になれば幸いです。

気になった英語表現はメモを取る習慣を

 まず第一に,言葉,特に母国語である日本語に関心を持つということが大事ではないかと思います。普段からことばや表現に興味を持っていると,「こんな時どういうのだろう」,「ああ,こんな言い方をするのか」という意識が積極的に働きますから,それだけ英語の理解力も吸収力も促進されるような気がします。

 「はじめまして,どうぞよろしく」は,“It has just begun. Please take care of me”ではなくて,“Nice to meet you.”と言います。こうした表現を一つずつ覚えていくには,「こんなとき,英語で何て言うんだろう」といった関心や意識が必要です。

 また,「英語ではこんな言い方をするのか!」と思ったら,とりあえずメモする習慣をつけることです。これが2番目にお勧めしたいことです。

 私はいつも小さなメモ帳をポケットに入れておき,すぐにメモできるようにしていました。メモ用紙がない時は,紙ナプキンやガムの包み紙で代用したこともあります。今でも,会議資料の裏とかにちょこちょこっとメモします。また携帯電話には録音機能がついているので,これも活用できます。とにかく,身近なところからタックルするのが近道です。

 さらにメモした表現や,初めて知った言葉などは,辞書を引いて早いうちに完全に自分のものにしてしまいましょう。「辞書をこまめに引く」ことが,3番目の習得法です。

 私は長い間,小学館のランダムハウス英語辞典(初版)の机上版を愛用していました。漬物石にできるくらいの大きさと重さがある辞書ですが,訳語のみならず用例や類語,反対語が豊富。デスクでまじめに英語に取り組む時や,英日翻訳作業には必須のツールでした。今では,電子辞書も豊富ですし,オンライン辞書もありますから,辞書を引くことが面倒ではなくなりましたが。

 それにしても,なかなかいい和英辞典に出会わない,と不満に思っている方はいませんか?和英辞典の難しさは,日本語と英語では発想が異なるので,単語単位で訳していくことに限界があるからではないでしょうか。

 例えば,「私には弟がいます」は“I have a brother.”と訳せますが,「います,いる」という単語を和英辞典で引くと,exist(存在する)とか be (there is ~)は記載されていますが,haveは用例文のところでやっと登場するのです。

 次の4番目の習得法は,例文を使って考えてみましょう。