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嶋正利のプロセッサ温故知新

時代を切り拓いた技術とシステム構築技術の進展 (4)

ビジネス向けパソコン「ThePC」の開発により「OSとGUIの時代」が登場

嶋 正利=ITpro Watcher 2007/03/29 ITpro

 1981年におけるIBMのビジネス向けパソコン「ThePC」の開発により「OSとGUIの時代」が登場した。それまでの閉鎖的なコンピュータ・ビジネスとは異なり,オープン・アーキテクチャ,オープン・システムズ,デファクト・スタンダードなどがキーワードとなった。パソコンとパソコン用ソフトウエアなどの新産業が誕生した。マイクロプロセッサの世界では,レイアウトの不正コピーが問題となり,半導体レイアウト保護法の成立を推し進めつつ,マイクロコードの採用による知的財産権の保護が始まった。パソコンとワークステーションの出現でダウンサイジング時代が始まった。

 IBMパソコンは,周辺ボードやソフトウエアのメーカーに特許使用料を請求しない「オープン・アーキテクチャ」と低価格路線を選択したことにより,「デファクト・スタンダ-ド」とも言えるパソコンの世界標準機となった。ところが,インテル製マイクロプロセッサとマイクロソフト製OSを採用したため,パソコンの主導権はマイクロプロセッサとOSに移ってしまった。インテルは,「IBMはインテルにとって引き入れたい最も大きなクライアントである」と判断し,パソコン向けキットを破格な低価格でIBMに提示した。やがて,多くのクローン・メーカー(複製機メーカー)が登場し,パソコンの生産台数は1985年に約1千万台,1991年に約2千5百万台に達し,インテルとマイクロソフトが急激に成長していった。

 1968年秋,サンフランシスコのシビックセンターで開かれた「コンピュータ合同会議」で,世界初のウィンドウ・システムであるGUIというヒューマン・インタフェースが発表された。システムにはキーボードの他にマウスが実装され,互いが重ならない複数のウィンドウ画面にテキストが表示されていた。システムは,国防総省の先端技術研究計画局(ARPA)からの資金援助によって,スタンフォード研究センターというシンクタンクのエンゲルバードによって開発された。そのウィンドウから見える文章,数字,グラフ,イメージなどがある空間が「情報空間」であると言われ,後にSF作家のウィリアム・ギブソンが「サイバースペース」と名付けた。

 エンゲルバードによるウィンドウやマウスの開発の目的は「人類が持っている処理能力を越えてしまった蓄積された知識に対処するための知性の強化拡大」であった。すなはち,人間の編集能力と処理能力の増幅であった。

 私は,21世紀に生きる人達には,パソコンを人間の編集能力と処理能力の増幅に使うのではなく,“知を創造する道具”として使ってもらいたい。

 GUIを搭載したOSと1985年に開発された32ビット・マイクロプロセッサ80386の製品化をきっかけに,パソコンの機能とビジネスが急激に成長し,パソコン・ソフトやコンピュータ・ゲーム・ソフトなどのソフトウエア産業が大きく花開いていった。1985年に半導体不況により苦境に喘いでいたインテルは,1985年末のコンパックコンピュータによる80386搭載の32ビット・パソコンの市場への投入により,パソコン市場が活性化し,神風が吹いたように他の業界よりいち早く生き返った(IBMは80386搭載の32ビット・パソコンの市場投入を躊躇した)。ただし,32ビット・パソコンとしての機能は1995年のWindows95の出現まで待たねばならなかった。

 1982年に設立されたサン・マイクロシステムズがワークステーション業界に登場した時のキーワードは,オープン・システムズ・ネットワーキングであった。サンは既存の標準品と標準規格だけを使ってワークステーションを開発した。マイクロプロセッサにモトロ-ラの16ビット・マイクロプロセッサMC68000,高速システムバスにVMEバス,低速ペリフェラルバスにIBMパソコン用ISAバス,LANにイーサネット,OSにUNIXなどが選ばれた。価格をミニコンの10分の1に設定し,短期間に市場を奪ってしまった。典型的な破壊的イノベーションであった。

 マイクロプロセッサの世界では,遅いメモリーと低動作周波数に最適化した従来型のマイクロプロセッサ(CISC: Complex Instruction Set Computer)に対抗するように,高速キャッシュメモリーと高動作周波数とコンパイラを武器にRISC型マイクロプロセッサ(RISC: Reduced Instruction Set Computer)が登場した。CISCはパソコン市場で成功し,RISCはワークステーション市場とマイクロコントローラ市場で成功した(電子情報通信学会のサイトの「マイクロプロセッサの25年」のページ)。

 コンピュータからパソコンとワークステーションへのダウンサイジングが始まり,ミニコンの超優良企業であったDEC(Digital Equipment Corporation)は市場優位性を失って衰退していった。(続く)

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