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5分で人を育てる技術 (8)「人を動かすために・・・」前回は,坂本のエピソード・・・以前の所属で,モチベーションをダウンさせてしまった彼が,私との会話の中で,自分の気持ちを吐露しながら,新しい仕事に前向きに取り込もうとするまでのプロセスを紹介しました。 坂本は,後に非常に優秀な人材に成長していくのですが,このエピソードの後にも,関係する部門の人々との間にさまざまな問題が発生しました。私は,その都度,問題に対応しながら,少しづつ坂本にヒューマンマネジメントを教えるようにしていました。 今回のエピソードは,前回のエピソードの直後の話です。
みんながお前のような人間ではないんだ・・・私と坂本,岡田の3人は,当社の営業企画部門の担当者数人と一緒に,商品供給を行うために大手販社に業務提携のアプローチをしていました。 われわれは,IT企画チームの担当者として,販社の担当者の方への提案や,提供機能の要件交渉などを行っていました。 われわれは開発チームに,販社に提案するシステムのラフ要件を提示し,彼・彼女らがシステム設計した結果を簡単なドキュメントで提出してもらいっていたのです。 そして,このラフな設計案を,企画チームで加工し,企画書に仕上げ,販社へのプレゼンに使っていました。 坂本が以前所属していたのは,この開発チームだったのです。 当初,私の下には坂本も岡田もいなかったので,開発チームへの依頼は私が自分で行っていました。しかし,販社への提案頻度が多くなり,範囲も広くなると,私一人ではまわらなくなります。 そこで,私の仕事を分担し,かつ,今後のために何人かを育成するつもりで部長に人の増員を依頼し,まず岡田,そして坂本が私の部下として企画チームに参加したわけです。 岡田と坂本には,私が担当していた「開発チームに情報を渡し,すばやく設計をしてもらう」仕事をやってもらうつもりでした。しかし,岡田はともかく,坂本にこの仕事をさせるのには,多少,問題があるかなと感じていました。 なぜなら,前回のエピソードのとおり,「坂本と開発チームのメンバーとの人間関係が悪かった」からです。 しかし,そうも言っていられません。坂本には,どうしても,開発チームと連携してもらわなければいけないと思いました。坂本は,今は企画チームのスタッフです。そんな彼が,開発チームのエンジニアを動かすことができなければ,存在価値はないからです。 そんな思いを持ちながら,坂本を呼んで,1週間で,ある分野のラフ設計を開発チームに作ってもらうように指示しました。そして,あえて1週間何も言わず,1週間後,坂本を呼んで,状況がどうなっているかを聞きました。
坂本と開発チームの関係は悪化していましたので,坂本が変わらなければ開発チームは坂本の言うことを聞かないと思いました。当然,表面的には仕事をやるでしょうが,人間関係の悪い坂本の依頼では,パフォーマンスが悪くなります。 そこで,私は「坂本に変わってもらいたい」と思い,彼に私の考えを伝え,彼の行動を変えるように促したのです。 この間5分くらいです。その後,私は部屋を出ていき,坂本を残しました。それ以上言っても効果はありません。坂本が自分で考えるように一人にしたのでした。 そして,これ以降,次第に坂本の人当たりは柔らかくなっていきました。彼の厳格さは,他人ではなく「自分の責任を果たす」という部分に移っていき,それとともに,他人には丁寧に接するように変わっていったのです。
著者プロフィール芦屋 広太(あしや こうた) |
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