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学校では教えてくれないグッドラッパー英語#2 - wise vs. intelligent

2007/02/21

Paul Grahamのおかげでこの企画、まだまだ続きます

学校では教えてくれないグッドラッパー英語、今回は

wise

を取り上げます。


このwise、wiseに使わないと痛い目にあう言葉だったりします。

以下の二つの文を見て下さい。

  1. He is wise.
  2. He is a wise guy.

ニュアンスはさておき、全く同じ意味に見えますが、A.の意味でB.を使ったらとんでもないことになります。"a wise guy"というのは、893のことなのですから。

wiseにはもう一つ、接尾辞(suffix)としての用法もあります。"otherwise", "clockwise"のwiseです。"foowise"というと「foo的には」という意味になります。例えば、

That article was insightful blogwise, but too inaccurate wikiwise.
[ブログ的には鋭い視点だけど、ウィキ的には不正確すぎ]

なあんて使い方をします。面白いことに、この用法は使いすぎるとunwiseと見なされます。

一見関係ないこの二つの用法ですが、実は関係あると私はにらんでます。

その共通点は、「用いる」です。

どんな時に(形容詞の)wiseが使われるかと言えば、知恵でも言葉でも金でも、それを使う時です。Oxford American Dictionary (以下OAD)のwiseの最初の定義は、以下のとおりでした。

wise1
Having or showing experience, knowledge, and good judgement
[経験、知識、そしてよき判断力を持つさま、または示すさま]

そう。wiseになるためにはwiseの対象を「持って」いなければならないのです。You have to have wisdom to be wise. というわけです。

これに対して、intelligenceというのは、「(まだ持っていない)知恵を手に入れる」という意味があります。再びOADを見てみましょう。

intelligence
ability to acquire and apply knowledge and skills.
[知識と能力を入手し、そして応用する能力]

Paul Grahamは辞書を引くべきでした。これほど簡潔にwiseとintelligentの違いがわかるのですから。You have to be intelligent because you are not wise. というわけですこれが気に入らなければ You have to be intelligent to be wise -- to gather wisdom you later use. でもかまいません。そう。Intelligenceの方が先なのです。金は使う前に稼ぐか借りるかしなければならないのと同様に。

このことは、wiseが嫌われる理由をも説明してくれます。金持ちが嫌われる理由と全く同じ、そう、嫉妬(envy)です(実は私はこの嫉妬というのを知識(knowledge)としては知っているのですが、経験(experience)としては知りません。が。これは別の機会に)。

英語には他にも、smartとneatという言葉があります。smartはwise寄り、neatはintelligent寄りですが、より気軽に使えます。wiseだと角が立つところもsmartなら丸くおさまり、intelligentでは気恥ずかしくてもneatなら堂々と言えるということもよくあります。それでも、"a smart guy"というのは、「頭のいい奴」というより「生意気な奴」の意味が強いので注意しましょう。

ところで、日本語で「スマート」というと、「スマート爆弾」を除けばslimの意味で使われますが、これってなぜでしょう? Wiseでない私には分からず、それを調べるIntelligenceも不足しているのでどなたかお恵みを。

閑話休題。かつてwiseというのは、今ほど蔑まれてなかったように思います。それはwiseが豊穣の証しだったからでしょう。ところが印刷や通信の発達で、人のwisdomを簡単に借りれるようになりました。そうするとそのwisdomのタネであるintelligenceに注目が集まります。かくしてwise低、intelligent高の時代がやってきました。wiseと違って、intelligentの方はほとんど否定的ニュアンスがありません。

しかしここまでintelligenceにあふれた現在、少しはwiseを見直してもいいのではないでしょうか。私には現代人、特に「頭のいい人」たちが、Intelligenceholic に見えてしかたがありません。教員たちがプロザックを必要としているのもそのためでしょう。彼らに必要なのは、プロザックではなくwisdomなのかも知れません。

もっともwisdomを売り物にするwise guysが後をたたないのも事実ですが。ニセ科学があとを立たないのも、人々がwisdomに飢えているのに、intelligenceしか提供されたないためといったら言い過ぎでしょうか。

Wisdom without intelligence is perpetual motion. Intelligence without wisdom perplexes emotion.

Dan the Dummie


編集部より:今回の記事は,小飼弾氏のブログ404 Blog Not Foundより編集し転載させていただきました。本連載に関するコメントおよびトラックバックは、404 Blog Not Foundでも受け付けております。

著者プロフィール

 Perl本体の開発チーム・メンバーであり,Perlで日本語を扱うためのモジュールJcode.pm,多言語変換モジュールEncode.pmの開発を手がけたオープンソース・プログラマ。そのほか多くのPerlモジュールを開発しCPANで公開している。元オン・ザ・エッヂ取締役最高技術責任者(CTO)。著書に「達人に学ぶPerl/CGI道場」(インプレス刊)がある。約2万冊の蔵書を持つ重度の活字中毒者としても知られる。「404 Blog Not Found」で社会や技術に対して積極的に発言している。

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