How rich you are is how much you giveいやあ、哲学のやおい本とでもいおうか。 やおいではあるが、トンデモではない。いや、この本の主張は、ある意味現実こそがトンデモなのだという指摘でもある。 本書「モノ・サピエンス」は、現代という時代があらゆるものをモノ化していくことを指摘した本である。ここでいう「モノ化」というのは、売買不可能だったものを売買可能にし、交換不可能だったものを交換可能にし、そして使い捨てできなかったものを使い捨てられるようにすることを指す。 目次
目次を見て分かる通り、著者の筆致は惨く冷たい。まるであたかも著者自身が、万物をモノ化していくように。その冷酷さは、戦場よりもガス室のようであり、冷酷を通り越して滑稽にすら見える。そこにはヤマもオチもないが、なぜかそこから目が離せない。 もちろんこれは著者がわざとやっているのである。 あとがき
一読者として判断すると、この方法はかなりの成功を収めたと言わざるを得ない。本書の各章の指摘に実はそれほど目新しいものがあるわけではない。が、ここまできれいにまとまり、そしてここまで容赦がない本はなかったと思う。この「モノ化された残酷」を味わうためだけにも、本書は価値がある。 しかし、というよりやはり、本書には「モノ化」の善悪は書いていないし、「モノ化」の行き着く果てになにがあるかは書いていない。要するに「意味なし」で、これで「やおい」が揃ったことになる。 あとがき
もっとも、「暗い未来」とか「新時代を拓く」とかといった表現が、まだ「モノ化」が不徹底なのかも知れない。これは「モノ化されざる何か」はあるのだという著者の抵抗が行間ににじみ出たのかも知れない。 そこにこそ、「拓かれるべき新世界がどうあるべきか」というヒントがあるように思われる。 アンカテ(Uncategorizable Blog) - グーグルが従業員を子供扱いするために発生する雇用、あるいは、There's more than one way to live your life.
TMTOWTDIというのは、その答えの中では最有力候補だと思う。しかしその豊かさに至るには、従来の「モノ差し」を使い尽くさなければならないというのも、著者である岡本氏の主張であり、そして私もそれに対する反論の言葉を持たない。 p.196
思えば私が「オープンソース・プログラマー」という自由を謳歌できるのも、お金があるからだ。「オープンソースが金持ちの道楽」と言われてしまえば、私には返す言葉がない。 とはいうものの、「お金持ち」という言葉もまた、心のもちようでもある。 #0 Perlの父 Larry Wall|gihyo.jp
私はインタビュアーだったので、原文をはっきりと覚えている。それを披露して本entryを締めくくることにする。
Dan the Well-Off
編集部より:今回の記事は,小飼弾氏のブログ404 Blog Not Foundより編集し転載させていただきました。本連載に関するコメントおよびトラックバックは、404 Blog Not Foundでも受け付けております。
Perl本体の開発チーム・メンバーであり,Perlで日本語を扱うためのモジュールJcode.pm,多言語変換モジュールEncode.pmの開発を手がけたオープンソース・プログラマ。そのほか多くのPerlモジュールを開発しCPANで公開している。元オン・ザ・エッヂ取締役最高技術責任者(CTO)。著書に「達人に学ぶPerl/CGI道場」(インプレス刊)がある。約2万冊の蔵書を持つ重度の活字中毒者としても知られる。「404 Blog Not Found」で社会や技術に対して積極的に発言している。
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