◆IT組織のカルチャ(文化)チェンジの必要性
◆知識労働者の生き方・考え方の再認識
◆IT組織の改革の進め方
◆IT組織の人事改革と新たなキャリアパスの提案
◆ITアーキテクトの認知と育成
◆IT企画とプロジェクトマネジメントの支援
◆要件定義とオブジェクト・オリエンテッド設計の方法論の実現
2006年,私は数多くのお客様に,このようなことを提言した。ほとんどが,人の意識や考え方の変革に関係することである。なぜなら,世界は人の意識や考えで成り立っているからだ。意識や考えを良い方向へと変革できれば,現実は大きく変わっていく。
実際,いずれもお客様にもこれらの提言に納得していただけた。2007年にはこれらの提言がお客様の元で具体的なアクションとして本格始動し,成果へとつながっていく。
これらの提言内容をやり遂げるのは難しい。だが,絶対に外せない。多様で複雑なITの世界に対応するためには,基本が最も重要だからだ。
基本が重要な現代だからこそ,私は2007年,次のことをIT関係者に呼びかけたい。活力のある,明るく元気なIT組織を,各企業で創造することである。
組織を明るくするためには,分かりやすく納得性のあるビジョンを掲げることが必要だ。何をするにも,人の意識が前向きにならなければ,いい知恵は浮かばない。21世紀は精神の時代と言われている。だからこそ,メンタル面から変えていきたい。
まずは自分の生き方を定義し直してみよう
2006年12月,私はP.F.ドラッカーの著作を多数翻訳している上田惇生先生(ものつくり大学名誉教授)と対談した。この時,上田先生がこうおっしゃっていた,「ITの時代は,まだまだ入り口に差し掛かったところ。これから本格的な変革が訪れる」ということだ。これが印象に残っている。
我々ITの仕事では「やり方」を開発する以前に,本質を見極め,問題を定義することがより重要になる。変革を迎えるタイミングである今であればなおさらだ。
組織を変えるには,まずは個人からである。自分の人生の戦略,目標,仕事,余暇,スポーツ,音楽,技術と芸術の関係性,会社と家族の関係性など,身の回りのテーマとその問題を総点検し,新たなスタートを切ろう。本当の自分の生き方を定義し直してみよう。人生全般の活動について,その本質を理解しようと意識を向けると,非常に良い結果を生むと思う。
例えば,何が自分にとって楽しいのかを再度探ってみるのもいい。私がこの文章を書いているのは2006年末である。仕事の締めくくりとして中部地方のお客様を複数訪問し,新幹線で帰路についている。新幹線の「ミュージックチャネル」で皇帝演舞曲(J.シュトラウスI世)を聞き,真っ白に雪化粧をした美しい富士山を観ながら,この原稿を書いている。
ゆったりとしたワルツを聴きながら,締め切りが近づいてきた原稿を書いているというのも矛盾しているが,こうしたプレッシャと「ゆったり感」が同居している時間が,私には楽しいのだ。何かと仕事ばかりになりがちな人は多いが,本来人間には集中とゆるみの両方がバランス良く必要であることを申し上げておきたい。
皆さん,2007年こそ,明るく元気なIT組織を創ろうではありませんか。