SFAでは,「プロセスの見える化」が大ブームになったが,2007年は見える化ブームが徐々に終焉の兆しを見せていくだろう。

 政治と違って,経済は緩やかなカーブを示すから一気に終焉することはない。しかし見える化を先駆けて実施した企業群から,見える化導入の反省が起きている。彼等は異口同音に「営業プロセスが見えて喜んだのは口うるさい管理型上司だけであった。入力を強要するほどに営業マンの士気は下がりやる気が失せていく。見える化は営業マンを幸せにしない」という。この小さな声はやがて合唱になっていくことは明らかである。

 見える化は重要なことだ。プロセスが可視化できたことは功績である。しかし見えた後の使い方が問題なのである。見えたことで納品完結しようとするIT企業。使い方を研究しない導入企業。マーケティング不在のSFA。このことがSFAをダメにしているのだ。

 2007年は下降を始めている「見える化カーブ」の後ろ側に,新たなトレンドカーブが立ち上がる。顧客を公平差別してターゲティングした顧客との関係深化を軸にしたLTM(Life Time Management)が求められるようになる。その動きが顕在化する。

 SFAはこれからは営業管理ではなく営業支援だというが,LTMはそうではない。

 顧客との関係を深めて顧客との生涯の付き合いをマネージメントするシステムである。

 マネージメントを管理とは訳さない。マネージメントはマーケティングと訳すべきであり経営と訳すべきである。また,SFAはプロセスの可視化ではなく,契約に導いてくれるような機能を持つものが出てくる。マーケティング理論があれば可能である。

 また,これまでのデータベースマーケティングは終焉を遂げる。店舗,通販,WEBビジネスではRFM分析やABC分析などで優良顧客を識別しようとする手法が一般的であったが,これら一定期間を区切りその間にたくさん購入した顧客を優良顧客とする過去のタイムスライス分析では,真の優良顧客を特定できないことが企業担当者にわかっている。

 年間40%近い顧客が入れ替わるこれらの優良顧客特定方法では大切にするための伸の顧客を発見することができないのだ。この分野もLTMが注目されていくだろう。

 かかる意味で2007年はマーケティング理論が中心となったLTMシステムが台頭する。

 BI(Business Intelligence)は,見える化をマーケティングに役立つように変化をしていく。真の優良顧客を特定し,抽出するために役割を果たすようになるだろうし,タイムスライス分析で過去に売上げの高い顧客を抽出するのではなく,未来にたくさん購入してくれる,ポテンシャル度の高い顧客を抽出するようになる。

 2007年は,古いものが壊れて新しいものに変わっていく年になる。顧客が一歩先に進み,ニーズが顕在化することで新しいものが台頭する年になる。