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Googleにおける開発組織マネジメント (1)Google本社への取材

2006/12/25

 昨夏,私はビジネススクールのケース教材を開発するため,Google本社(カリフォルニア州マウンテンビュー)ならびにGoogle日本法人を訪問した。同社の製品開発組織(当時で推定2000名超のソフトウエア・エンジニアの集まり)がどのようにマネジメントされ,それがなぜ革新的なサービスが続々と生まれるという成果に結びついているか,を取材するためである。

 当時の取材結果は,そのときのGoogleの開発組織が示していた非常に高い生産性とモチベーションをよく説明していた。そしてなによりも,その創造性マネジメントのメカニズムを肌で感じた私は,身震いするような興奮を覚えた。あと10歳若くて,自分に天才的ソフト開発の素養があったなら,すべてを投げ打ってこの企業でがむしゃらに働いてみたい,とさえ思った。

 本欄では何回かに分けて,そんな私の興奮の源泉が何かを解き明かすことにトライしてみたいと思う。

情報共有のあり方とその効果をさぐる

 取材に先立って,まずはどのような質問を発するべきかを考えた。そんなに潤沢な時間が与えられるわけではない(米国滞在可能日数は四日間だった)。

 これまで様々な仕事を通じて薫陶を受けている梅田望夫さんはかねてから,「Googleの組織マネジメントの鍵は情報共有にある」と指摘していた。また,Google日本法人社長の村上憲郎さんのお話からも,同社の開発組織内の情報共有度はシリコンバレー企業の中でも群を抜いて高い様子がうかがえた。

 そこでGoogle本社での質問の核心部分は,ずばり「同社の開発組織マネジメントにおける情報共有のあり方とその効果」とした。そのほかにも,「Googleの開発者(俗にGooglersと呼ばれる)が熱心に働くインセンティブの源泉」や,情報共有と裏腹の「情報漏洩に対する統制のしくみ」についても聞くことにした。

 実はこの昨年の取材に基づいて,ケース教材「Google:創造性のマネジメント」が作成され,すでに慶應ビジネススクールのケース教材データベースに登録されている。しかし,ケース教材とは元来経営の実情を脈絡なく書きつづるタイプのものであり,私見や分析を述べる類のものではない。そこで本稿では,取材内容から描ける範囲で同社の開発組織マネジメントの構造化と分析を試みてみたい。

 次回は,新サービスがアイデアの段階からベータ版としてローンチされるまでのプロセスを,順を追って述べるところから始めよう。

著者プロフィール

岡田正大氏は、本田技研工業を経てArthur D. Little(Japan)でIT業界の戦略コンサルを経験。その後ネット革命元年の94年に渡米し、オハイオ州立大で経営学博士号を取得した。その間、梅田望夫氏のMuse Associatesにフェローとして参画し、以来ネット経済と企業戦略の関係をテーマに教育・研究に従事している。専門は企業戦略理論。99年帰国し、現在は慶應義塾大学大学院(慶應ビジネススクール)助教授。

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