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5分で人を育てる技術 (5)言うことを聞かない“自信過剰な部下”芦屋広太です。日頃いかが人を育てておられるでしょうか。 前回は,「仕事を丸投げする部下」の問題点を指摘しました。「丸投げ」という行為が,人のスキルアップにいかに弊害をもたらすかが理解いただけたと思います。 ところで,多くの方は「丸投げ」と聞いて「部下」よりも「上司」の方が問題ではないのかと感じたかもしれません。「丸投げ」という言葉を聞いてまず,思い浮かぶのは,いいかげんな「上司」が部下に「丸投げ」する行為でしょう。 これも非常に困ったものですが,これについてはまた,近いうちに「上司」シリーズを書きたいと思っておりますので,そこで言及することにしましょう。では,次の5分間指導に移ります。今回は,新しい部下の登場です。
言うことを聞かない部下「坂本君」部下の岡田と一緒に仕事をしていた私は,次第に人手不足を感じるようになっていました。提案の頻度も増え,それに伴い作成する資料も膨大になって,岡田だけでは回らなくなっていました。そこで,メンバーを増やすことにしたのです。 当然,優秀な人がほしいので,上司である部長にもそのようにお願いしました。部長には「ITがわかって」,「企画力があり」,「文章が上手で」,「頭の回転がよく」,「交渉力があり」,「仕事が速く」,「整理が上手で」,「問題解決力が高い」のがいいと言いました。部長はしばらく聞いていましたが, 「もういい。そんなヤツいない」 と言い,それから少し考えて, 「まあ,ひとり面白いそうなヤツがいる。頭はいい。でも・・・ちょっとな・・・ソイツなら,いつでもOKだ」 と言いました。その人物が二人目の部下の「坂本君」だったのです。彼は入社6年目で,岡田の一つ年下でした。 坂本が赴任してきて,すぐに部長の「ちょっとな・・・」の意味が分かりました。坂本は,「癖のある」人間だったのです。頭の回転はいいのですが,人を小馬鹿にするような言動がありました。 私の言うことにいちいち反論をするのです。反論自体はかまわないのですが,そこは自意識過剰な男です。自分の能力以上に仕事ができると思い込んでいる感じだったのです。典型的な「困った部下」でした。 坂本は,このような性格だったので,これまで多くの上司や同僚から「変なヤツ」と忌み嫌われていました。話をしていると確かに頭はいいのですが,この「言うことを聞かない自信過剰」が駄目だったのです。 私は「ああ,部長の言っていることは,このことだったんだな」と思いました。同時に「ああ,頭がいいのにもったいない・・・ちょっと改造しないといけない」と思ったのです。そこで,私は一計を案じることにしました。 あるとき,坂本に作成を指示していた提案書をチェックし,問題箇所の修正を命じました。
坂本は,こんな感じでした。彼の場合は,厳しく言えば言うほど「逆切れ」するタイプなので,前々回に説明した「逆切れしない工夫」をしなくてはならないと思っていました。今回は,これをしようとして,坂本にはある「仕掛け」を施しました。 「私の言うこと」を聞かなかった坂本を,次長と部長のところに行かせ,私はそのまま,別件の会議に参加しました。
うなだれる坂本夕方,会議から帰ってきた私は,机でうなだれている坂本を見ました。近づいていくと彼は私を見ました。
こんな感じで,坂本に資料を修正させました。そして,次長と部長に資料見せると,一発でOKがでたのです。すっかり意気消沈していた坂本は,嬉しそうに笑顔になりました。ほっとしたのでしょう。生意気な坂本の表情はありませんでした。 これ以降,坂本は私の言うことを何でも聞くようになりました。あんなに生意気だった坂本が,なぜ,芦屋の言うことをハイハイ聞くのか,周囲は不思議がりました。 それは,私が,そういう工夫をしたからです。次長と部長には「口裏を合わせて」おきました。坂本に絶対OKを出さないようにお願いしていたのです。非常にみえみえの仕掛けなのですが,この方法はよく効きます。 坂本との会話5分×2回。次長部長との口裏あわせ時間5分。合計15分で,坂本はすっかり素直になったのでした。
著者プロフィール芦屋 広太(あしや こうた) |
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