昔使っていたファイルサーバのHDDに不良セクターやI/Oエラーがたくさんみつかったことがありました。幸いRAID5+HotSPARE&HotSwapに対応していたのでデータが飛ぶという事態までには至らず助かりました。ファイルサーバはとても重要なサーバなので壊れてしまったら一大事です。というわけで今回は可用性の高いファイルサーバについて考えてみたいと思います。

1.普通のPCを使ってはいけない

普通のPCにWindowsを入れてファイルサーバとして使っているところが意外と多そうです。しかし普通のPCといわゆるサーバ機は設計ポリシーや品質基準が大きく異なるので、24時間365日稼働が前提のファイルサーバには絶対にサーバ機を採用すべきです。

2.ATA HDDを使ってはいけない

最近のATA HDDは昔とくらべて多少信頼性が上がったと聞きますが、それでもファイルサーバ用途には耐久性が全然不十分です。どんなに高価でもファイルサーバ用に使うHDDにはMTBF(平均故障間隔)の長いSCSIやFC等、エンタープライズ用途を前提として生産されたHDDを使うべきです。これはあくまでも経験則ですが、以前ファイルサーバに家庭用ATA HDDを使っていたときはほとんどのHDDが1年で壊れましたが、SCSI HDDを使っていたときは3年経っても1台も壊れませんでした。

3.RAIDについて考える

ファイルサーバに置かれるデータはかなり重要であることが多いためRAID構成を組むことはとても重要です。RAID5だけだとどうも不安です。最低RAID5+HotSPAREかRAID6+HotSPARE、理想的にはRAID1+HotSPARE以上の構成にしたいところです。また、もしRAID5構成を選択するのであれば障害発生時のダメージを軽減するために少な目の本数のRAID5構成を組むほうがよいです。例えばHDDが9本あったとしたら9本でRAID5構成にするのではなく、3本のRAID5構成x3という感じです。

4.ファイルサーバを冗長化する

ファイルサーバが止まってしまうと業務に支障が出る場合も多いと思いますのでファイルサーバを冗長化しておいたほうがよさそうです。ファイルサーバを冗長化しておくと、例え1台が故障してもユーザはもう1台の方にアクセスできますので業務上支障が出ません。修理にどのくらい時間がかかるのかわからない場合も多いのでこれは大きな安心につながります。

5.バックアップを考える

これだけの対応をしてもバックアップを考えることは重要です。テープデバイスでもいいですし、安価な家庭用NASを利用してもよいと思います。バックアップを取らないことに比べればよっぽどましです。もし可能なのであれば災害対策のために遠隔地にバックアップ装置まで用意できれば理想的です。

6.設置場所を考える

一般論として、ハードディスクは高温に弱いので設置場所も重要で24時間空調が使える部屋に置ければ安心です。あと言うまでもなくほこりや水にも弱いので、地面に直置きしたり湿気がある環境に置くことも避けたいところです。

最後に

たかだかファイルサーバに本当にここまでの対策をしなければならないの?と思う方もいるかと思います。はい、したほうがよいです。しかし理想的なファイルサーバを作ろうとすると、特にエンタープライズ向けHDDがなかなか高価なこともありすぐに数百万円~数千万円の予算が必要となりそうです。どのくらいの予算を投入すべきかは、今現在使っているファイルサーバのデータが吹っ飛んだと仮定して業務上どの程度インパクトがあるか想像して決めるのがよいかと思います。これは単なる印象ですが、データの価値に比べてファイルサーバに過小投資ぎみ企業がほとんどのような気がします。