最近テレビで放映されている,Macintoshの一連のCMをご覧になっただろうか。Appleの「Macを始めよう」のWebサイトにアクセスするとQuick Time形式のビデオを見られるので,良かったら見てほしい。一種の比較広告だが,開き直りのようにも見えてちょっと面白い。

 比較対象はもちろんWindows PCである。CMでは「パソコン」となっている。内容は,実に過激である。「Macにはウイルスがいない」は「シェアが低いのでウイルスの作者が興味を示さない」と言い換えることができるし,「仕事ではなく趣味で使う人が多い」は「仕事では使い物にならない」と誤解する人がいるかもしれない。もちろん,Macにだってウイルスはいるし,デザイン業界などでは仕事で使う人も多い。

 ところでCMでは,パソコン(Windows)に付属のソフトウエアとして「計算機… 時計…」とつぶやく台詞がある。計算機はともかく,Windows XPには時計は付属しない。Appleの人も,まさか時計がないとは思わなかったのだろうか。タスクトレイ(通知エリア)には時刻を示す機能があるが,あれは時計とは言えない。Windows Vistaではサイドバーのガジェットとしてカレンダと時計が復活した。いずれもシンプルで実用的である。

 さて,一連のCMについて,マイクロソフトの人はどう思っているのだろう。非公式な場で,しかも「個人的な見解」と断った上で,あるマイクロソフト社員がこう語った。

 「WindowsとMacintoshでは社会的責任が違う。Appleが『ウイルスにも強い』と言ったのに,Macintoshが感染しても社会全体としての被害はそれほどでもないだろう。しかし,Windowsがウイルスに感染することは,社会問題としてニュースになる。それだけの責任があるのだから,他社のことは気にしていない。Windowsのセキュリティは近年大きく向上しているが十分ではない。とにかくWindowsのセキュリティを強化していきたい」

 傲慢なのか謙遜しているのかよく分からないコメントである。

 よく言われるように,Appleは基本的にハードウエアを売る会社である。それもエレガントなハードウエアを売る会社である。Apple IIに始まり,Apple //c,初代Macintosh,iMacなど,歴代のApple製品はどれも卓越したデザインである。最近ではiPodがそうだ。ポータブルオーディオ機器を使う習慣のない私でも,うっかり買ってしまいそうになったくらい所有欲をそそるデザインをしている。

 PCにそんな機種があるだろうか。iMacのそっくりさんもあったが,特に購買意欲はそそられなかった。SONY VAIO X505は美しかった。かなり高価な機種であったが,ボーナスで買ってしまった。しかし,こういうのは例外である。

 Intel MacでWindowsを動かす方法もある。以前は「手動イジェクトしかないフロッピ・ディスクがある限り,PCとMacは相容れない」と言われていたが,最近はデスクトップPCでもフロッピ・ディスクが付かない機種も出てきた。いっそWindowsとMicrosoft OfficeをプリインストールしたMacintoshを売り出したら,きっと売れると思うのだがどうだろう。