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「ランチがまだですね,右の角にお寿司屋さんがあります」――センサネットワークで広がるウェラブルの世界

2006/11/27
バイタルセンサ,ロータリーエンコーダ,Bluetooth対応PCなどを搭載したAwareWearプロトタイプ
バイタルセンサ,ロータリーエンコーダ,Bluetooth対応PCなどを搭載したAwareWearプロトタイプ
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 究極のウェアラブルは服とともにある,ということはウェアラブルコンピュータの未来──ひとり一人の情報空間を創り出すの中でも述べた。

 人間が存在する空間が「屋外」→「屋内」→「自動車」→「服」のように狭くなるに従って,私たちはまるで自分の空間を持ち歩くことができ,どこにいても自分の秘書,ホームドクターと一緒にいるような感覚を味わうことができる。もちろん,用途によって必要な要素は異なってくる。

 今回はその具体的な利用方法を紹介する。

ウェアラブルセンサは世話好き!?

 例えば,先日紹介したヒューマンレコーダと空調服を組み合わせると,服を着ている人の状態に合わせて衣服内の温度調節が自動で可能となったりする。ヒューマンレコーダに加速度計や角加速度計を搭載していれば,その人が走っているのか,歩いているのか,座っているのか,また寝転がっているのか,などその人の現在の行動状態がわかる。

 行動状態とバイタルサインとを組み合わせることによって,その人に合った衣服内の温度を保つ,という機能が実現する。また,その日の体調によっても温度を調節可能だ。体調がすぐれないサインがでれば,少し暖かめの温度に設定できるし,外が寒くなれば,衣服内は暖かく保つこともできる。

 他の例を考えてみよう。いま,GPS付き携帯が普及しているが,その人の行動履歴,バイタルサインに加えて位置情報がわかると,その人の状況に合わせ的確な提案をしてくれる服も実現可能だ。

 あなたは今日,ずっと営業活動をしていて,ランチをまだとっていない。すると,そのことをウェアラブルセンサが知っている。どのようにしてウェアラブルセンサはその情報を知ることができるかというと,その人がお昼ごろにも関わらず,飲食店には入らずにオフィス街を絶えず移動していることが位置情報でわかるからだ。今居る場所の近くに,その人の今日の健康状態にあったお店があることもウェアラブルセンサが知っている。
 
 これらのシーンすべてに対応するようなオールインワンの商品を開発することは困難である。しかし,個別の技術を組み合わせて,かゆいところに手が届くような商品を作ることは可能である。一つ一つの技術は,ごく限られたニーズのために開発されたものであっても,その限られたニーズを組み合わせると,あらゆるニーズに対応できるようになる。

 これまでに紹介してきた,ヒューマンレコーダや空調服,足圧センサシューズなどを組み合わせることによって,サービスは無限に広がる。おしゃれのために,ピアスや服やネックレス,ベルト,靴,と選んでトータルコーディネートするように,自分が欲しいと思うセンサを組み合わせて,自分の思うままに,自由にセンサネットワークを構築できる日も,そう遠くはないかもしれない。

 今回は,NPO法人WIN(ウェアラブル環境情報ネット推進機構)の川久保佐記さんに寄稿していただきました。

著者プロフィール

1966年東京大学工学部精密機械工学科を卒業。68年、東京大学精密機械工学専攻修士課程を修了し、日本電信電話公社(現NTT)に入社。同社の副理事・研究企画部長やマサチューセッツ工科大学(MIT)客員研究員などを歴任し、92年中央大学理学部教授就任。96年から東京大学大学院工学系研究科、99年新領域創成科学研究科教授。2004年〜2006年東京理科大学大学院、総合科学技術経営研究科、研究科長就任。現在、東京理科大学教授。東京大学名誉教授。2000年8月「NPO法人WIN(ウェアラブル環境情報ネット推進機構)」を設立、理事長を務める。情報誌「ネイチャーインタフェイス」誌の総監修、環境プランナー運営委員会委員長、科学技術振興機構(JST)「先進的統合センシング技術」研究領域総括及び科学技術・学術審議会 研究計画・評価分科会の安全・安心科学技術委員会の主査を務める。主な著書に「情報マイクロシステム」(朝倉書店)、「ウェアラブルへの挑戦」(工業調査会)、「ウェアラブル・コンピュータとはなにか」(NHK出版)、「コンピュータを「着る」時代」(文藝春秋)などがある。

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