「成長に向けて優秀な技術者の質、量の確保がますます重要になってきた」。日本ユニシスの籾井勝人社長は11月2日の2006年度上半期の業績決算会でこう語った。

 05年6月に社長に就任した籾井氏は05年度を助走期間と位置付け、06年度に業績を伸ばし、07年度から事業拡大へとストーリーを描いている。06年度(見込み)の売上高は前年同期比3%増の3270億円、営業利益は同18.5%増の60億円と計画通りに進んでいる。だが、06年度は「需要が供給を上回る状況にあるものの、リソースが逼迫している」(福永努代表取締役常務執行役員)。

 それを打開しない限り、05年に掲げた数年以内に売上高5000億円、営業利益率6~7%という将来ビジョンの達成が遅れてしまう。その1つが社内リソースの活用である。「優秀なプロジェクトマネジャー(PM)が払底しているので、社内から捻出することにした。組織長になり、後方に控えている、そうした人材に再び現場に出てもらう」(籾井氏)。50人くらいになるという。

 加えて、各部門にいる優秀なSEをシステム部門に戻す。「『SEを出せ』というお召し列車が通る」(同)と言われているそうだ。ここも50人規模になる。「参謀的なSEに(定年を)延長して働いてもらう」(福永氏)ことも計画している。女性が働きやすい職場作りも推進する。07年度に新卒、中途で500人弱の採用を予定しているが、退職者が400~500人見込まれていることもある。

 同時に、PMの体制を見直す。「プロジェクト管理をきちんと行っている会社はたくさんあるだろう。だが、今の仕組みだと、PMに責任がすべてかかってしまい、ストレスもたまる」(籾井氏)。システム構築の進捗状況をチェックし、問題点を指摘するだけにとどまっていることに問題があるという。PMに対して、「あれが悪い」「これも悪い」という指摘ではなく、「こうしよう」と解決まで踏み込んだ提言をする。もちろん支援もいるだろうし、受注前に「この案件は当社でやれるのか。どんな技術を使うかなどを検討する」(同)

 「PMの負荷を軽減させることは、品質改善につながる」と籾井氏は期待する。06年6月に品質管理部も設置した。「売り上げより品質を第一に掲げることが大切だ。ITは社会インフラ化しており、社会に与える影響が大きくなっている。『絶対』という言葉を使うのはおかしいかもしれないが、そういう気持ちである」。