今回はディサスターリカバリーについて私が思っていることを述べてみたいと思います。(会社やメインデータセンターが東京近隣にあることを前提として書きます)
ディサスターリカバリーの種類
ディサスタリカバリーに次の3つのレベルがあるとします。
- レベル1.データのみを2ヶ所以上にバックアップするパターン
- レベル2.データセンターを2ヶ所以上に持つパターン
- レベル3.データセンターも組織も2ヶ所以上に持つパターン
普通の企業ではレベル1で十分?
私は普通の企業ではレベル1くらいの対応で十分なのではないかと考えています。ひょっとしたら「いやいや、レベル2くらいは必要ではないか」と考える方もいると思いますが、ちょっと待ってください。
東京大地震によって自社サーバが置いてあるデータセンターがつぶれてしまうという状況を考えてみてください。東京にIXが一極集中している日本においてそんな状況では日本のインターネット自体が麻痺してしまうことが想定されます。また従業員もサーバ管理以前に自身の生活インフラの確保すらきっと確保するのが難しい状況になるでしょう。そんな状態の中、WEBサイトが一瞬の寸断もなく本番系から待機系に切り替わるということに大枚をはたくことが果たして合理的なことなのでしょうか。
また、待機系のデータセンターがあったとしても、それを稼動させるためには社員の判断が必要になります。判断できる人のいない待機系データセンターが何の役に立つのでしょうか。
そんなわけで、私は普通の企業ではレベル1くらいの対応をしておけば十分ではないかと考えています。
ディサスターリカバリーに本気で取り組むならレベル3まで取り組もう
ディサスターリカバリーへの取り組みはセキュリティの取り組み同様、それが直接利益に直結するものではないので経営陣にあまり関心を持ってもらえないのも事実です。しかしもし経営陣がディサスターリカバリーに関心を持ち出した場合はチャンスです。ディサスターリカバリーの場合、徹底的にやらないと意味のない投資になりますので、是非徹底的にやってください。
徹底的にやろうとするならレベル2というのはかなり中途半端です。例えば本社が東京、データセンターを東京と大阪に持っているとしましょう。既に記したように、東京大震災が起きると本社と東京のデータセンターがやられます。その場合、大阪のデータセンターが使えるわけですが、システム管理者が東京本社にしかいないとしたら、大阪のデータセンターを本稼働させられないかもしれません。
そう考えると必然的にレベル3、すなわちデータセンターだけでなく組織も東京以外、理想的には大阪にも置く必要があります。そこまで行ってやっと「当社は万全なディサスターリカバリー対策をしています」と言えるのではないでしょうか。