前回は,私が要求開発アライアンスに参加することになったきっかけと,社外コミュニティへの参加の意義について述べました。今回は,実際に1年以上継続的に参加してきた経験から,積極的に社外コミュニティに参加することで得られる「さらなる価値」について考えてみます。

 参加した当初は「場」の雰囲気に圧倒され,トピックにもついていけず,その場にいるのが精一杯の状況でした。しかし,継続的に参加することで,テーマや議論の流れも分かるようになり,顔見知りも増えました。そのころ,ふと,周りの方々を見て,コミュニティへの参加の仕方にもいろいろな形態があることに気づきました。

 コミュニティの存在を知り参加してみたものの,それっきり足を運ばない人。最新情報の収集が目的で,自分の聞きたいテーマの会合だけに参加する人。業務を調整し,都合がつくときだけ参加する人・・・。こうした人々がいる一方で,いつもの顔ぶれと言われる人たちは,定期的に参加し,活発に議論の輪に入っています。

 継続的に参加されている人々を見ていると気づくことがあります。皆さん,大変良い表情をしているのです。目を輝かせて新しい技術の説明を聞き,その後の懇親会でも楽しそうに歓談されています。

 では,どうして皆さんすてきな表情をしているのでしょう。答えは簡単。皆さん,目的意識を持って参加されているのです。例えば,自分が抱える課題について解決の糸口やきっかけとなる知識を得ようと,意欲を持って参加する人がいます。分からない部分は質問し,気づきはメモをとっています。そんな方は,課題と正面から向き合い,考える楽しみを知っているのでしょう。

 また,コミュニティで何かを作ることに喜びを感じ,積極的に参加している人もいます。きっと準備にも時間をかけるのでしょう。積極的に情報を発信しています。

 私自身も参加を重ね,コミュニティと深くかかわることで,集まってきている人たちの「思い」や「共通の課題」についての理解が深まり,視野が広がりました。同時に,日常業務では決して得られない,多くの「気づき」を得ることもできました。

 要求開発アライアンスでは当初,理事が中心となり,要求開発方法論Openthologyを策定していました。定例会では,Openthologyに関する最新情報や,要求開発の課題,実践方法などが理事から紹介されていました。

 その一方で,最近では若手を中心に,「自分たちも何か発信してみたい」「方法論の普及の一助となりたい」といった希望を持つメンバーも増えています。そこで要求開発アライアンスでは,執行委員会という組織を作り,様々な活動を行っています。ワークショップ,イベント,勉強会の企画などを通じて参加者の輪を広げながら,知識の向上,業務での実践,情報発信など積極的に活動しています。私自身も今後はその輪に加わりたいと考えています。

 前回,冒頭で次のようなメッセージを投げました。「最近,いろいろなことをあきらめていませんか?」私の場合は,あきらめずに参加することで自身の視野を広げ,自分自身の課題を見つけることができました。皆さんも,日常業務から一歩外へ踏み出し,社外のコミュニティに参加してみませんか。きっと,明日の業務に役立つ「気づき」がありますよ。

(竹内 政恵=要求開発アライアンス)