私は,エンジニア向けの論文試験向けの添削教育を5年ほど手がけてきました。論文は説得力が必要な文書です。上司や顧客,部下など多くの人に伝えて納得してもらう性格をもつビジネス文書にも通じます。

 そのため,クライアント企業(教育をしてほしいとご要望される企業)に「どうしたら説得力のある文書をかけるようになりますか」と聞かれることがよくあります。

 長く他人の書いた文書に赤ペンを入れていますと,どういう書き方が説得力を持つのか,何が説得力を弱めるのかが分かってきます。そこで今回から,何がうまくできていないのかを紹介していくことにしましょう。

文書の説得力とは?

 まず,最初に説得力のある文書とはどういうものかを理解しましょう・・・といっても,「説得力のある文書」というのも抽象的な話なので,もう少し具体的に考えていきます。

 文書の説得力を考えるためには,それぞれの文書が,どんな目的をもっているのかを考える必要があります。

 例えば,論文であれば,「他人に自分の考えを伝える」ことが目的です。そして,これを達成するために必要となるのが,説得力です。

人を説得するために必要なこと

 人を説得するためには,どんな要素が必要でしょうか?こんな質問をエンジニアにすると,多くの人は回答することができません。

 それも無理はありません。ほとんどの人は,日頃「説得力とは何か」ということを考えながら生活してはいないのです。

 そこで,私は,以下の質問をします。

Q1:誤字脱字があるものとないものでは,どちらの文書が説得力があると思うか?

Q2:言っていること(主張)の理由がないのとあるのでは,どちらが説得力があるか?

Q3:言っていることがだんだん変わっている文書と,最後まで首尾一貫しているのはどちらが説得力があるか?

 こんな質問を繰り返し,説得力を持つために必要なことを理解してもらっていきます。

 そうすると,必要なのは「(1)丁寧で正しい表現」,「(2)論理的に矛盾がないこと」,「(3)首尾一貫していること」などのいわゆる説得力をもつ文書の原則が理解してもらえます。

 それから詳しい説明を始めるのですが,これについては次回にご紹介することにしましょう。

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