![]() |
ライト、ついてますか―問題発見の人間学 著者:D.C.Gause、 G.M.Weinberg 出版社:共立出版 価格:2000円(税込み) ISBN:4-320-02368-4 |
本書は、今はなきコンピュータサイエンス総合誌「bit」に連載された「イーグル村通信」が基になっている。毎回、ありがちなエピソードが紹介され、それについて考察する。
コンサルタントのための入門書ということになっているが、問題解決をするあらゆる人(つまり、人生を送るあらゆる人)に薦めたい。「問題は解決する前に、発見しろ」これが本書の教えである。問題を発見せずにトラブルシューティングに入る人は実に多い。エラーメッセージを読まない。現象を説明できない。そんな状態で問題を解決できるわけがない。しかし、ついやってしまうのも事実である。中には問題ではないのに問題だと思い込むこともある。「その結果、誰がどんなことで困るのか」ということは常に意識したい。
表題になった「ライト、ついてますか」は、運転手に注意を促す標識の話である。トンネルを抜けたところに公園があった。多くの人はその公園で一休みするのだが、ライトの消し忘れでバッテリを上げてしまう人が多い。注意を促すために「ライトを消せ」という看板を出そうとしたが、それでは夜間に消してしまう人が出ないか。「昼はライトを消せ」とすれば、霧のときにも消してしまわないか。などと考えているうちに、看板の文は、やたら条件の多い読みにくいものになってしまった。そこで再検討された文が「ライト、ついてますか」だ。
木村泉先生の訳も読みやすい。特別な前提知識も不要なので、ぜひお薦めする。なお、amazon.co.jpで検索した場合、詳細情報には共著者の名前が記載されないことが多い。本書も、主著者はワインバーグ氏と思われるのに書籍紹介ページには掲載されていない。検索結果一覧では全著者が表示されるので、そちらで確認してほしい。
