正論述べたがり屋さんがいます。正論を述べることが必ずしも問題の解決につながるわけではないのに、いつどんな場面でも正論を述べないと気がすなまい人のことです。私は会議・商談・プレゼンなどの中で間の悪いタイミングで正論を述べる場面にたまに遭遇します。

私は正論を述べることについては悪いことだとは思いません。問題の本質に切り込むときに正論を述べることは避けて通れないことですし、堂々と自分の意見を述べるというのは勇気がなければできません。しかし正論を述べるときは「相手のメンツをつぶさない」という最低限のコミュニケーション・ルールがあることはしっかり自覚すべきだと思います。

相手のメンツをつぶす言い方とはどういうものか。それは、世間に対する体裁をおとしめる言い方です。例えば誰かがプレゼンテーションをしているとき、プレゼンテーターはとある間違った前提で話を進めているとします。それに対してその前提が間違っていることに気づくやいなや、まるで鬼の首でも取ったようにそのことを無遠慮に指摘することは明らかに相手のメンツをつぶしています。

相手のメンツをつぶすのは何も直接的な対面だけに限りません。むしろネット社会においてはネットが普及すればするほど相手のメンツをつぶす現状に拍車がかかっている気がしてなりません。言いにくいことは対面せずメールで済ます。顔が見えないので平気で相手を批判・誹謗・中傷する。匿名掲示板やチャットで陰口のように言いふらす。どうして人はこうも醜くなれるのかと悲しくなることがあります。2chなどでは年がら年中喧嘩が起きてますが、お互いがお互い相手のメンツを立てれば言い争いにならないのに、といつも思います。

では相手のメンツをつぶさないためにはどうしたらよいでしょうか。それは相手の誤りを指摘するのであれば1対1でこっそり間違いを指摘してあげる。もし会議等で大勢の人がいる前であった場合であれば、相手の誤りが些細なことであるならば聞き流す。反対に相手の誤りが重大なことであれば、十分配慮しながら言葉を慎重に選び、自分の指摘によって相手が直接責任を咎められないよう最大限気を配ることが必要になります。ネット社会においても同様で、可能であれば指摘は1対1の場面で行う。1対1が難しいようであれば、自分が言われても腹が立たずむしろ感謝したくなるような表現を意識して使うようにすることです。