• BPnet
  • ビジネス
  • IT
  • テクノロジー
  • 医療
  • 建設・不動産
  • TRENDY
  • WOMAN
  • ショッピング
  • 転職
  • ナショジオ
  • 日経電子版
  • PR

  • PR

  • PR

  • PR

  • PR

横山哲也の100年Windows

Windowsにも「通読できる」紙のマニュアルを

横山 哲也=ITpro Watcher 2006/07/31 ITpro

 Windowsにはマニュアルがない。いや,正確にはあるのだが,古い時代のマニュアルとはちょっと違う。私のように古い世代の人間としては,マニュアルの体系は以下のようにあるべきだと考える。

・「Getting Started」や「Read Me」,「はじめにお読みください」という,最小限のことが書いたマニュアル
・一般的な操作マニュアル
・トラブルシューティング用の詳細マニュアル

 ところがWindowsの場合,紙で用意されているのは「はじめにお読みください」だけだ。それも相当簡略化されている。読んだことのない人の方が多いのではないだろうか。操作マニュアルはオンライン化されている。詳細マニュアルは,リソースキットとWebサイトに散在している。

 馬場史郎氏も言っているが(年齢から考えて彼も古いタイプの人間だろう),技術者として力を伸ばすにはマニュアルを読むことが必須だ。解説書ではだめだ。解説書は,よく使う機能や想定されたシナリオに添った機能のみが紹介されていて,全体像がつかめない。システムの全体像がつかめないと,トラブルがあったとき,どのあたりに問題があるか予測しにくい。

 同じマイクロソフトのOSでも,古いバージョンには紙のマニュアルが用意されていた。私自身,Windows NT 3.1のマニュアルや,Windows NT 3.5のマニュアルは通読した。もちろん全部が一度に頭に入ったわけではないが,これは本当に役に立った。

 最近は,オンライン・ドキュメントしか提供されなくなり,通読するのが難しくなった。オンライン・ドキュメントは,調べ物をするには便利だが,通読するには向かない。液晶ディスプレイの品質がもっと向上すればいいのかも知れないが,今のところ,私には通読は無理だ。

 マイクロソフトのあるエンジニアにこの話をすると「個人の心情的としては同意するが,ソフトウエア会社として,マニュアルがなければ使えないという状況は,決してほめられたことではない。マニュアルの充実より,マニュアルが不要なソフトウエアの開発に力を入れるべきだ」と言われた。マイクロソフトと言えども無限のリソースがあるわけではない。優先順位としては確かにそうかも知れない。だが,ここで再反論しておきたい。

 自動車を購入するとマニュアルが付いてくる。しかし,ほとんどの人はろくに読まないだろう。前進,後退,停止,方向転換など,基本的な操作はほぼ完全に統一されているからだ。私は自動車を所有していないが,たまにレンタカーを利用する。さまざまな車種を借りたが,マニュアルを読んだのは,カーナビの説明書くらいだ。ハイブリッドカー「プリウス」を借りたときですら,マニュアルはほとんど読まなかった(基本機能以外の部分,たとえば駐車アシスト機能などについては,少しだけ読んだ)。

 しかし,考えてみてほしい。確かに,レンタカーを借りた人は,マニュアルを読まなくてもいいかもしれない。だが,整備士はどうだろう。整備マニュアルは不要だろうか。私は,自動車の構造には詳しくないが,プリウスの整備が他のガソリン車と全く同じだとは思えない。さらに,同じガソリン車でも,メーカーごとに,また車種ごとに多少の差があるだろう。マニュアルレスで本格的な整備もできれば,それは理想だろうが,そうなるだろうか?

 自動車の場合,私が免許を取った頃に比べると,日常的なトラブルは大幅に減っている。一般ドライバが自分で整備しなければならないケースはほとんどないだろう。Windowsがこのレベル,つまり日常的なトラブルを減らすことを目指すのは結構なことである(週刊アスキーの「東京トホホ会」のネタがなくなるのは寂しいが)。しかし,プロの整備士の仕事をなくすレベルにまでなるだろうか。

 日常的にトラブルが多い機器と言えばコピー機だ。特に多いトラブルは紙詰まりである。しかし,コピー機で,紙詰まりが発生したときのガイダンスはほぼ的確だ。感動すら覚える。コピー機の画面に表示される指示に従えば,ほとんどの紙詰まりには処できる。Windowsが目指すのはこのレベルだろうか。確かに,トラブル時に表示されるWindowsのガイダンスはかなり進歩した。ガイダンスを読んで適切な処置ができたことも多い。Windowsは,着実にコピー機に近付いているようだ。しかし,コピー機でも,メンテナンス担当の人はメンテナンス・マニュアルを持っている(と思う)。

 マイクロソフトが,「はじめにお読みください」の記述が最小限で済むように努力することは正しい。「一般的な操作マニュアル」がなくても使えるようにしようと思うことも正しい。しかし「詳細マニュアル」はどうだろう。整備士に「整備マニュアルは今後紙では提供しません」と言うだろうか。

 (と言い切ったが,飛行機の整備マニュアルはオンライン化が進みつつあるらしい。もしかしたら,紙をなくそうという方向に進んでいるのだろうか? ご存じであれば教えてほしい)

 念のために断っておくが,マイクロソフトが現在提供している情報量は決して少なくはない。これほど多くの情報が,特別な契約なしに提供される会社は珍しいくらいだ。ITプロフェッショナル向けの,ここでいう「整備マニュアル」に相当するものもきちんと用意されているし,今のところ,情報量が減る傾向は全くない。TechNetという有償サービスを契約すれば,CD-ROMでも入手できる。ただ,通読できる,つまり最初から最後まで通して読めるマニュアルがないというのが問題なのだ。

 Windowsを,マニュアルなしに操作できるようにする努力は結構なことである。どんどん進めてほしい。しかし,ITプロフェッショナル向けのマニュアルは引き続き提供していただきたい。そして,できれば通読できる紙のマニュアルを用意してほしいと思う。いかがでしょうか,マイクロソフト様。

あなたにお薦め

連載新着

連載目次を見る

今のおすすめ記事

  • 【わたしの働き方改革】

    働きやすくするコツ、自分を知ってもらうこと

     ネットワンシステムズで、顧客企業向けに働き方改革をコンサルティングする「ワークスタイル変革チーム」を率いる手塚千佳氏。異業種からIT業界への転職、2度にわたる出産・育児など、様々な経験を重ねてきた。その蓄積が、多様なキャリアを持つ部下を率いながら顧客企業の働き方改革を支援する今の仕事に生きている。

ITpro SPECIALPR

What’s New!

経営

アプリケーション/DB/ミドルウエア

クラウド

運用管理

設計/開発

サーバー/ストレージ

ネットワーク/通信サービス

セキュリティ

もっと見る