情報システム部の西島は、矢野が使った方法に気づき、今後このようなことが起らないように窓口を一本化しようとしました。しかし、矢野は西島の思うように動いてくれませんでした。
自分の作戦が上手くいかなかった西島。では、彼はどうしたか。これについて見ていきましょう。
【登場人物】
西島・・・主人公。システム部の中堅社員。名古屋から志願して東京に異動し、営業部門との調整を担当する。学生時代に小西教授から「目的達成型コミュニケーション術」の指導を受ける。 富山・・・システム課長。西島の上司 矢野・・・営業企画課長。営業や企画に強い優秀人材。高い交渉力をもつ。 小西教授・・・西東京大学教授(マネージメント論)西島の恩師。「目的達成型コミュニケーション術」の提唱者。企業で豊富な実務を経験したあと、独自の人間行動学・マネージメント論を確立。東京郊外の大きな山荘に住み、講義や執筆活動を行う。 |
矢野に交渉相手と見なされなかった西島
西島は自分の考えた作戦が上手くいかなかったことに落胆していました。西島から見れば、名古屋のシステム部員は交渉力の面で脇の甘い人たちばかりです。交渉力に優れ、これまで会社の中心で仕事をしてきた矢野のやり方など理解できていないでしょう。だから、自分が矢野と交渉していかなくてはならないと考えたのでした。
でも、矢野は自分など交渉相手とは見なしておらず、相変わらず名古屋のシステム部と仕事していました。西島は自分が無視されていることが悲しくもあり、悔しくもありました。矢野が自分を認めていないことに腹立たしささえ感じていたのです。
とは言うものの、このままでは、営業部門とシステム部門の関係はこれまでと何も変わりません。西島は、自分が東京に来た目的を再確認し、このままではいけないと強く思いました。自分が東京に来たのは、営業部門と情報システム部門がなぜ対立するのかを、社会心理学やマネージメント論の観点から明らかにすることとでした。
そして、その成果として、営業部門と情報システム部門の関係を最適化して、会社のIT対応力を高めることでした。西島は最初の試みが失敗だったことを反省し、今後はもっとよく考えなくてはならないと思ったのです。
しかし、西島は、矢野にどう対応すればよいのか分かりませんでした。矢野は西島の10歳上で、会社の中では相当な実力者です。営業が強い会社の中で、情報システム畑を歩んできた、全社的には無名の西島と矢野が対等に話しができる関係ではありません。
西島は一生懸命考えました。何週間も考えたのですが答えは分かりませんでした。そこで、最後の手段として小西教授を頼ることにしました。実は西島はもっと早く小西教授に相談したかったのですが、小西教授は昔から、西島が安易に相談するのを嫌いました。
「徹底的に考えて、それでも答えが分からなければそのときには相談しなさい」というのが小西教授の教えでした。西島はその教えを忠実に守り、大学時代も、卒業してからも、小西教授は西島に極限まで考えさせることを強いていたのです。
西島も、それを守り、常に極限まで考える癖をつけました。それが、西島の能力を他人と異にしたといえるかも知れません。とにかく、西島は、徹底的に考えて、どうしても答えがでない時にはじめて小西教授を訪ね、相談するようにしていたのです。そして、今回、西島は小西教授に相談する決心をしました。
小西教授の教え
西島は、小西教授に電話をかけて状況を説明し、今回のことを相談しました。
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小西教授にヒントを貰いながらも突き放された西島。彼は何を考えたのか。これについては次回に説明しましょう。
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