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信頼できるプロジェクト・マネージャーは?今回は,ITプロジェクトのマネージャーについて考えてみましょう。
「チョット,言わせて」コーナー:プロマネ資格者なら安心か?最近,一時期のブームほどではありませんが,プロジェクト・マネージャーの有資格者が増加しています。代表的な資格であるPMP(Project Management Professional:米国のNPO法人,プロジェクト・マネージメント協会が資格認定を行っている)について見ると,2005年12月現在,日本国内で約13,000人が資格保有者だということです。 このような有資格者数の増加には,ITプロジェクトの数が増えたこと,扱うIT技術が多様化したこと,ITトラブルが増加したこと,慢性的にIT技術者が不足していること,などが背景にあります。有資格者の中には,資格集めの人もいるし,将来のキャリア形成のため,目前の業務上の必要性から取得した人など,様々です。 プロマネ有資格者だから任せて安心,だとは言い切れません。 私がアドバイスする企業のITプロジェクトにも,プロマネ資格を有するメンバーを実際にプロジェクトリーダーやマネージャー役にするケースが,増加しています。ところが,彼らがITプロジェクトの全体を切りもりしても,上手くいかない場合も多くあるのです。その場合,私は,そのITプロジェクトのプロマネだけでなく,PMO(Project Management Office)やプロジェク・トメンバーに対して,助言と指導をしているのです。
プロマネ有資格者が手におえないこと何故,プロマネの有資格者が,プロジェクト・マネージャーをしても上手くいかないケースがでてくるのでしょうか。システムを提供するITプロジェクトの場合を想定してみると,以下の原因があるのではないかと思います。 1.スコープ・マネージメントができない。 発注側,ユーザー側が意図しているスコープ(システム化の対象範囲など)は,要求定義,基本設計,詳細設計,開発テスト,運用テストなどの各プロセスにおいて,サービス提供側や開発側が仕事の範囲とするスコープと,ズレが生じやすい。 2.コミュニケーションが苦手である。 そもそも技術現場からのたたき上げが,プロマネになるケースが多いのは,やむを得ません。ITプロジェクトで必要なコミュニケーション能力には,メンバー個々に対するコーチングや進捗会議におけるファシリテーションも必要とされます。 はっきり言って,これら人的資源管理の必須ノウハウを修得するには,資格試験の勉強だけでは難しいといえます。 3.発注者の気持ち,ユーザーの気持ちを理解できない。 これは,感性と意識改革の視点です。どうしても,「良いものをつくったのだから,使えないのはユーザーが悪い」「ユーザーはITに素人だから困る」などの本音が,見え隠れしてしまう。仕事の成果を評価する発注者やユーザーの目線が冷たくなっていくケースなどが,典型的です。 4.部下の技術者をマネージメントできない。 マネージメントは,日ごろの業務の積み重ねです。プロジェクト・マネージャーたる者は,日常の仕事で部下をマネージメントする訓練をすべきです。週間の作業予定が作成されていない,日々の作業記録が徹底していない,ITプロジェクトの標準書式が定まっていなかったり,定まっていても周知徹底されていない組織のプロジェクト・マネージャーだとすると,マネージメントが身に付いている可能性は低いといえるでしょう。 5.WBSを洗い出せない。 プロジェクト・マネージャーとして,WBS(Work Breakdown Structure)を適確に洗い出せないことがあります。経験という積み重ねがないと,無理もないと思うかも知れませんが,プロジェクト目的に集中し,責任感を持って構造化分析を繰り返せば,どこまでも詳細に洗い出すことが可能です。予期しないことが起こってプロジェクトの失敗が多い人は,この力が足りないのです。 これらは,単に経験不足とするには,あまりにも大きな問題です。
CIOは,プロマネを育成するCIOが,自分の使命を遂行するには,信頼できる能力のあるプロジェクト・マネージャーの仕事に支えられる必要があります。 そのためには,CIOは,ITに関するプロジェクト・マネージャーを自ら体験することが理想です。体験から出るアドバイスで,自らを支えるプロジェクト・マネージャーを育てることができれば素晴らしいことです。ただし実際に経験することは簡単ではありませんので,日経オンライン講座「情報システム構築のプロジェクトリーダー入門」のような,eラーニングで疑似体験してみるのもひとつの方法です。 CIOは「プロマネ有資格者が手におえないこと」をよく理解し,補うことが大事です。
CIO川柳コーナー前回の川柳である本日は こっそり祈る 本稼働の意味するところを説明します。 いろいろな苦労もあった,ようやっと漕ぎつけ「本稼働」を迎えるに至った。まさに,「本日は」プロジェクト・メンバーの仕事の御披露目であり,ここで,成功させることを目的にこれまでの資源投資があった。進捗会議での激しいやり取り,並行稼働を成功させたときの一時の安堵もあった。しかし,「本稼働の本日」が失敗すれば,すべてがマイナスとなる。言い訳が許されない,できて当たり前,動いて当たり前の世界なのです。 この句は,ITプロジェクトのリーダーやマネージャーの心境を言い得ていますが,心の中で「こっそり祈る」のは,CIOも同じはずです。
この句は,次回に解説します。皆様も,考えてください。
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著者プロフィール森岡謙仁氏は多くの企業の指導実績を持つ経営・情報システムアドバイザー。現在 アーステミア有限会社 代表取締役社長。「バランススコアカードで会社を強くする手順--実例に基づいたBSC実践書」(中経出版)、「驚くほど利益が上がる業務改革の 成功手順」(同)、「情報システム部ムダとりマニアル」(新技術開発センター)など著書多数。日経ビジネススクール 「CIO養成講座」,オンライン講座「情報システムのプロジェクトリーダー入門」の講師もつとめる。CIOに必要な知識やノウハウ,最新の話題や現場で起きている現実を語る。「経営とIT新潮流」サイトで「IT経営川柳」も連載中。 |