何故かここ数日、いかにも技術者らしい悪文を連続で目にすることがありました。悪文の傾向としては、書いてある内容自体は正確だが書き手の意志が押しつけがましいというものです。例を挙げてみましょう。


「よくある質問は掲示板に書いてあります。わからないことがあったらまずは必ず掲示板を見るようにしてください。それでもわからないことがありましたらメールでご連絡ください。簡単な問題であれば直ちに、難しい問題であれば極力翌営業日中までにご返答差し上げますが、お約束できるものではございません。内線でご連絡いただいても絶対にお答えできませんので必ずメールでご連絡ください。」

書いてある内容は正確なので「これのどこが問題なの?」と思われる方もいらっしゃるかもしれません。しかし冷静に自分が利用者の立場で読んで見るとこの文書はなんだか感じが悪いです。その理由を一言で述べると、サービスを受ける側の立場で書かれていないからなんです。突っ込んで見てみましょう。

  • よくある質問は掲示板に書いてあります。
      →これはいいです。

  • わからないことがあったらまずは必ず掲示板を見るようにしてください。
      →必ず見てほしいというのはこちらの都合です。これは利用者に強要すべきではなくてこちらからお願いすることです。

  • 簡単な問題であれば直ちに、難しい問題であれば極力翌営業日中までにご返答差し上げますが、お約束できるものではございません。
      →返答時期を約束しようとしている点はよいのですが、最後の「お約束できるものではございません。」は一言余計です。

  • 内線でご連絡いただいても絶対にお答えできませんので必ずメールでご連絡ください。
      →「絶対にお答えできません」という言い方はどうなんでしょう。超緊急事態があった場合も答えられないのでしょうか。

ということを踏まえて、例えばこんな書き方はいかがでしょうか。


「よくある質問は掲示板に書いてあります。それでもわからないことがありましたらメールでご質問いただければ簡単な問題であれば直ちに、難しい問題であれば極力翌営業日中までにご返答差し上げます。原則内線では受け付けられませんのでご了承ください。」

もちろん技術者にもいろいろなタイプの方がいらっしゃるので全員が全員というわけではないですけど、正確に書こうとするあまりサービスを受ける側の立場を忘れてしまう方はたしかに多そうです。