筑波大学近くのお好み焼き屋「蔵人」。広島風お好み焼きは一食の価値あり。写真は「広島風そば入り」。
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 SkypeはPC上で動くソフトウエアです。手軽で便利なソフトなのですが,PCを立ち上げる手間がかかります。そこであったらいいなと思うのが,“Skype電話機”などのSkypeを搭載した専用ハードウエアです。ところが,このような製品はまだ登場していません。なぜなのでしょうか。

 IP電話機など,SIPに対応したハードウエアは製品として利用されています。そこで,SIPとSkypeの違いを考えてみました。これまで何度か書いてきたようにSkypeはP2P方式を使っているのに対して,SIPは集中型のサーバーを利用します。ただ,ハードウエアについて考えるなら,もっと別な視点を持つ必要がありそうです。それは圧縮とセキュリティです。

 SkypeはSIPに比べて,遅い回線でも音質が良いという特徴があります。これは,Skypeが採用しているGlobal IP Sound社のコーデック(音声符号化方式)のおかげです。音質の良さは魅力の半面,処理には高スペックのプロセッサが必要になります。

 Skypeの特徴である高度なセキュリティ技術でも,大きな処理が必要になります。Skypeは高度な暗号技術を利用しており,通話の内容を第三者に知られるリスクを低減しています。その一方で,高度な暗号処理でも,高速なプロセッサを要求するのです。

 私の経験では,Skypeを動かすには300MHz以上のプロセッサが必要だと思います。最新のPCなら問題ありませんが,専用ハードウエアで使う組み込み用のプロセッサでは,ここまで高スペックなものは少ないという事情があります。

 また,プロセッサの問題によってSkypeは,持ち運べるPDAで使いたいニーズにも応えられていないのが現状です。音質やセキュリティを重視する気持ちはわかりますが,「CPU負荷がこんなに高いなんて,ソフトウエアとして設計ミスじゃないの?」という気がしてきます。

 しかし,そう決めつけるのは早急かも知れません。ハードウエアはすごい勢いで進化しているからです。一般にプロセッサなどの半導体の集積密度は11カ月で2倍になると言われています。すぐにSkypeを使うのに十分なスペックの組み込み向けプロセッサが登場しそうです。電話端末で見ると,昨年末に発売されたウィルコムのPHS/無線LAN対応端末「W-ZERO3」はクロックが416MHzで,性能的にはSkypeを動かせるレベルです。今年の夏から秋にかけて,Skypeハードウエア製品が出てくるのではないかと,楽しみにしています。