“サイン”のデザインに関心を持たれたことはありますか?

 初めての街や駅,大規模な商業施設を歩いているときに,わかりやすく親切なサインや道案内があると本当に助かります。ましてや,そのデザインがしゃれていたり,美しかったりすると,その街や施設のイメージがぐっとアップしますよね。

 逆に,ひどいサインも少なくありません。情報が不親切で大雑把,文字がたくさんありすぎて読みにくく,わかりにくい,図がいい加減でへたくそ,色が派手すぎたり…。独りよがりのデザインだと役に立ちません。ましてや,サインがどこにあるのか発見できない場合も珍しくありません。日本のサインデザインのレベルはまだまだだという気がします。

 欧米のサインは,とてもセンスがよくて,お金もかけているように見受けられます。公共施設に対しての取り組み方の違いを随所で感じてしまいます。日本の公共デザインは,サインにしても,ストリートファニチャー(ベンチや時計台など)にしても,管理する部署がお役人のため,いわゆる「役人仕事」で,審美的な文化もヨーロッパの社会に比べて,水準が低いためだと感じています。

理想のサインはインタラクティブ

 もし,見知らぬ街を歩いていて,こんなサービスがあったらどうでしょうか。

 目立ちすぎず,しかし,必要なときには目に留まる絶妙な場所にあって,そこには,親しみやすく,親切なきれいなお姉さん(お兄さん)が立っています。「ちょっとすみません,私,○○へ行きたいのですが…」と話しかけると,わかりやすく簡潔に教えてくれます。「どのくらい時間がかかりますか?」「そうですねえ,お荷物が重そうだからゆっくり歩いて10分ほどでしょうか」とか,「今日はここの道は工事中ですので,あっちの道からのほうが安全ですよ」とか,こちらの様子やその日の状況にあわせて案内してくれる。

 つまり,インタラクティブな対応をしてくれることが役立つサインの理想の姿だと思うのです。もちろん,現実的には,人件費がかかりますので,人を立たせておけませんし,無愛想で気の利かない人であれば,サイン板の表示のほうがましな場合もあります。一方的ではない,インタラクティブなサイン・システムをITを駆使して開発すればいいのにと思っているのですが,まだまだ納得いくようなシステムは見当たりません。

 しかしWebの世界では,例えばFlashを駆使すればすぐにでも,そういうサインを実現できます。道案内とサインは非常に似ているので,音,動画,アニメーションを使ってインタラクティブで親切なナビゲーションを開発してみてはどうでしょうか。他のプログラミング技術を使えば,Flashを使わなくても,それ以上のシステムを開発できるかもしれません。道案内とは,コミュニケーションの“質”が問われるものだと思うからです。

 とはいえ,いくら優秀なナビゲーション能力をもった道案内でも,無愛想で,親しみがなく,暗い感じで頭が悪そうだったら,道を聞く気にはなりませんよね。コミュニケーションにとって,ビジュアルの役割がとても重要なのは,人もマシンもみな同じです。それが,デザインの担う重要な部分なのです。


Google Mapみたいなサインが街角に出現すると便利だと思うのですが,誰か開発してくれませんか?