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東葛人的視点

日本における「enterprise2.0」がむなしい理由

2006/05/24

 この前に書いた『日本版SOX法なんか廃案にしてはどうか』に対して、いつもご意見を頂いている方からのコメントがあった。その中に「EA、SOA、ITIL、SOXと最近のIT業界の流行言葉に共通するのは“プロセスオリエンテッド”」との指摘があったが、まさにおっしゃる通り。もう少し言えば“統制”である。“個の増力化”といった昔流行ったキーワードは微塵もない。“Web2.0の時代”に、企業情報システムの振り子は正反対の側に振り切れているかのようだ。

 企業や情報システムにとって、統制=コントロールは確かに重要な概念だ。内部統制がどうした、なんて話を持ち出さなくても、それ無くしては企業が成り立たないのは誰でも分かる。統制を実現するためには、「働く人を『機械』のように捉えて、『プロセス』を標準化」する必要があり、その標準プロセスをIT化する必要がある。これにより、企業の安全は担保され、生産性の向上も可能になる。

 ただ、企業はそれだけでは立ち行かない。レトリックを利かせすぎの言い方だが、プロセスオリエンテッドの対極の“オブジェクトオリエンテッド”な発想も不可欠だ。オブジェクト、つまり個の重視、個の増力化である。従来のビジネスの枠のとらわれない従業員の創意・工夫なくしては、企業の発展も、新しいビジネスもない。従って、企業の情報システムについても、グループウエアだ、ナレッジ・マネジメントだと、そこに焦点を当てた様々な試みが行われてきた。

 企業経営や情報システムにおいてプロセスを重視するか、個を重視かは、時代や環境に応じて振り子のように揺れ動く。そう言えば、日本企業の情報システムにおいて、個人の発想や創意を重視しようという側に最も傾いたのは、1995年あたりから始まるインターネットの爆発的普及期の数年間であった。今風に言えば“Web1.0の時代”なのだろうけど、あの頃は今のWeb2.0の時代に比べて数倍、数十倍面白かった。

 当時、インターネットの威力を目の当たりにして、いろんなところで、いろんな人がネット活用を考えた。企業ホームページ、イントラネット、電子商取引などなどだ。そして多くの場合、ほとんどボランティアといってもよい形で、Webなどを使った新しいビジネスの芽を創り出した。マスコミにネット活用の先進事例として取り上げられ、今日のネットビジネスにつながっている例も多い。

 私が感心し、よく覚えているのは、今はなき業界3位の航空会社の話。その会社は日本で初めて、いや事実上世界で初めてネットを使ったチケットレス予約サービスを始めたのだが、それはシステム担当者の創意でスタートした。座席予約という基幹系システムにWindows NTサーバー経由でネットからアクセスさせるという“無謀な試み”だった。NTがダウンしたどうするのかと聞いたことがあるが、「リセットして、お客さんには謝れば済むこと。今大事なことは新しいことを始めることです」との答えが返ってきた。

 そして今、Web2.0の時代。この文脈でWeb2.0を勝手に定義すれば、こうした個人の創意・工夫、そしてその成果物を前提に、あらゆるレベルで様々なコラボレーションが可能になること。まさにオブジェクトオリエンテッドの極みである。標準プロセスの組み合わせではなく、様々なアイデアや試みの組み合わせの“量子効果”から全く新しいビジネスが生まれてくるのである。

 だからGoogleのビジネスは面白いし、投資する価値がある。インターネットの爆発的普及期のビジネスの熱狂と同じものがそこにある。では、日本の場合はどうか。企業の外側はまあいいとしよう。では、企業内ではどうだろう。冒頭の通りで、答えは見えている。統制的な発想のみが幅をきかせ、米国でいう「enterprise2.0」的なコンセプトはほぼ皆無。Web2.0とSOAを強引に結び付けたところで無理筋である。

 Web2.0の時代に、こんなにも日本企業の情報システムの振り子が、プロセスオリエンテッド、統制指向の側に振り切れていてよいのだろうか。しかも、ようやくリストラが完了して、これから攻め経営、新しいビジネスの創造に打って出なければならない、まさにそのときに、である。Web1.0時代には日本企業の内部にもあった熱狂が、今ほど改めて必要なときはないと思うのだが。

 今回は『東葛人的視点』の守備範囲から逸脱する内容になってしまった。逸脱ついでに言うと、このWatcherブログのシステムも、もう少し“Web2.0”的にならないものか。コメントがインタラクティブにできないようでは、一方的に書き、一方的に批判するのみで終わってしまう。実は、冒頭のコメントも旧ブログに書き込んでいただいたものだ。インタラクティブなやり取りがないと、新しい着想を生む“量子効果”は期待できない。


追記:“事前に予測できない”ような意外なビジネスや発想を生み出すこと、つまりビジネスやアイデアの“飛躍”を表現しようと、“量子効果”なんて比喩を使いました。しかし、コメントでのご指摘の通り、“俺様言葉”みたいになってしまっていますね。表現が粗雑でした。(東葛人)

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