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矢沢久雄のソフトウエア芸人の部屋

日本の名物コンピュータを訪ねて[1] 3500億円分の取引情報が詰まった巨大なWindowsマシン

矢沢 久雄=ITpro Watcher 2006/04/27 ITpro
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 皆様、毎度お世話になります。自称ソフトウエア芸人の矢沢久雄でございます。今から2年ほど前(2004年)、私は、日経ソフトウエアの連載で、「日本全国にある名物コンピュータを取材し、その記念としてディスプレイに”Hello World”と表示する(これは、プログラミングの学習で、最初に作る練習プログラムの定番です)」というプロジェクトに挑戦させていただきました。いろいろなコンピュータを見ました。コンピュータを愛する多くの人たちと出会いました。とても貴重な体験でした。これから全12回の予定で、プロジェクトの想い出話をさせていただきます。私を「師匠」と慕う「シゲちゃん」ことY記者との珍道中、どうぞお楽しみください。

旅の始まりはニュースリリース

 「師匠、これは凄いですよ~」鼻息を荒くしたシゲちゃんが見せてくれたニュースリリース(2003年11月25日付)には、日本最大のオンライン証券会社であるカブドットコム証券株式会社(以下kabu.com)が、64個のItanium2を搭載したWindows 2003 Serverマシン”Superdome(日本HP)”を導入することが記されていた。

 Itanium2と言えば、Pentiumの後継となる64ビットプロセッサである。おおっ!Windows 2003 Serverも一番豪華な64ビット版Data Center Serverだ。これは確かに凄い、凄すぎる。おそらく日本で最も巨大なWindowsマシンだろう。俗に言う「お化けマシン」だ。見たい、ぜひ見てみたい。シゲちゃん、すぐにアポイント取って。なになに、もう取れてるって? それじゃkabu.comへレッツ・ゴー!

取材テーマはコンピュータへの愛

 茅場町駅で地下鉄を降り、タクシーに乗り継いで、東京都中央区新川にあるkabu.comのビルに到着した。何ら飾り気のない白くて地味な社屋は、かえってお化けマシンの住まいにふさわしい感じだ。「は~い、師匠。入り口でポーズ取ってください(カシャッ)」自慢の一眼レフ・デジカメを抱えたシゲちゃんは、すっかりカメラマン気取りだ。「今度は自然に歩いていく感じで(カシャッ)」「そこで振り向いて、もう一枚(カシャッ)」お前は、林家ペーか? さっさと行くぞ。

 いやいや、ちょっと待てよ。ただ単にSuperdomeのような名物コンピュータを取材しただけで読者に喜んでいただけるだろうか? それじゃ、ニュースリリースと同じで面白くも何ともない。ピリッとした隠し味がほしい(著者は、いつもこんなことで悩んでいるものです)。そうだ! どんなコンピュータにも、それを使っている人、それを守っている人がいるはずだ。名物コンピュータ&コンピュータを愛する人の取材記事ってのはどうだろう。うんうん、これはいい案だ。ベリー・グッド。私は独りで納得しながら、シゲちゃんとエレベータに乗り込んだ。

サーバー管理者は、スポーツ選手を支えるコーチのようなもの

 「早くマシンルームに行ってSuperdome見ましょうよ~」と大はしゃぎのシゲちゃんを抑えつけ、まずkabu.comのオフィスでお話を聞くことにした。同社には、齋藤正勝氏という名物社長さんがいらっしゃるが、あいにく外出中だった。そこで、サーバー管理者の一人である天野達雄氏が対応してくれた(天野氏は、ちょっと前のマイクロソフトの広告で大きく紹介されていました)。爽やかで優しそうな人だ。

 残念ながら、お目当てのSuperdomeは、まだ導入準備中で稼動は2004年春以降になるとのこと。いきなり出端をくじかれてしまったが、現在稼働中のWindows 2000 Serverマシンである”ES7000(日本ユニシス)”を見せてもらえることになった。これだって、32個のXeonプロセッサ(Pentium4をベースにした32ビットプロセッサ)を搭載した巨大Windowsマシンだ。kabu.comでは、ES7000を使ってSQL Serverを動かし、13万の口座で1日4万件程度の取引を処理している(2003年当時)。ES7000でも凄いのに、さらにSuperdomeを導入するのはなぜだろう?

天野:今より大量の取引が発生しても、対応できるようにするためです。株価は短時間で大きく変動することがあります。もしも、お客様の注文を処理するのに5分以上かかり、それによって損失が発生した場合は、当社が責任を取って補填するルールになっています。ですから、マシンは速いに越したことはないのです。

 なるほど。損失を補填するとは、何とも厳しい世界だ。サーバー管理者は、いつもヒヤヒヤしていることだろう。などと思いつつ、本題である「コンピュータへの愛」に関する質問をぶつけてみた。天野さんは、ES7000を愛していますか?

天野:う~ん...、見た目が「棺桶」みたいですからね。どちらかと言うと、ES7000というハードウエアより、中にあるデータベース(ソフトウエア)に愛着を感じます。私たち保守スタッフは、凄いパワーを持ったスポーツ選手を支えるコーチのようなものです。マラソンの高橋直子と言うべきか、K1のボブ・サップと言うべきか、とにかくES7000は凄い奴なのです。

 むむむっ! 天野氏の言葉で、コンピュータへの愛の本質が見えたように感じた。世の中には、まるで我が子や恋人のようにコンピュータを愛している人たちが多くいるが、ハードウエアとソフトウエアのどちらをコンピュータ自体だと認識しているのだろう。読者の皆様も自問自答してみてください。私は、天野氏と同じソフトウエアの方だ。シゲちゃんは、どうかな? なになに、写真撮影に夢中で聞いていなかったって、このやろ~!

コンピュータが金庫に見える

 突然、斉藤社長が、外出先から帰ってきた。「がはははは」とは口に出さなくても、見るからに豪快な声で笑いそうな人だ。私は、根っから口が悪い方なので、取材先の皆様に対して失礼な表現が多々あるかもしれないが、何卒お許しいただきたい(シゲちゃん、フォローよろしく)。以下のカッコ内は、私の頭の中だけで聞こえた言葉なので、どうか誤解のないように。それでは、齋藤社長、一言で言ってSuperdomeの魅力とは、何でしょう?

齋藤:とにかくItanium2はイイ! 速い! Itanium2と64ビット版のSQL Serverを組み合わせたSuperdomeはスペック的にES7000の2倍だが、実際の処理速度は2倍以上出るんだ(がはははは)。ただし、現状のES7000だって凄いぞ。初めて見たときは感動した。これでもパソコンなのかって。

 いやはや、何ともパワフルな人だ。ところで、齋藤社長は、ES7000を愛しているのだろうか? 他のものに例えるとしたら、ES7000が、何に見えますか?

齋藤: 3500億円分の取引データが入っているから、俺にはES7000が「金庫」に見えるね。勝手にリブートしてはいけないと感じさせる唯一のマシンだ。試しにリブートしてみたら、ユニシスのスタッフが飛んで来たよ(がはははは)。俺は、ES7000を尊敬している。普通のパソコンが漁船だとしたら、こいつは戦艦大和みたいなものだ。リセットすると、再起動に20~30分もかかる。ちゃんとお金を稼いでくれるのだから「敬意を払うべきお化け」と呼ぶべきだな(がはははは)。

いよいよお化けマシンとご対面

 マシンルームに移動して、いよいよES7000とご対面することになった。ジャ~ン! 出たよ、出ました、お化けマシンが。なんじゃこりゃ冷蔵庫か? なになにUPS(無停電電源装置)だって。それじゃ、こっちにあるタンスが2つ並んでいるような物は? ははぁ、これがES7000本体か、デカイなぁ。この腕みたいに太いのが、電源ケーブルだって。何もかもが、驚くほどデカイ。ディスプレイには、Windowsの画面が表示されている。パフォーマンスモニタに、プロセッサの数だけグラフが出ている。当たり前のことだけど、実際に自分の目で見ると、やたらと感動するものだ。壁には、ビル・ゲイツやスティーブ・バルマーの直筆サインがある。”Thanks a lot”って買いてある。そりゃメーカーとしては、嬉しいでしょう。シゲちゃん、しっかり写真取ってくれよ。

齋藤:ゲイツやバルマーが、見学に来てサインを書いていったんだ(がはははは)。俺は、ゲイツとのツーショット写真もいっぱい持ってるぜ(見せてやろうか)。でも、ゲイツよりバルマーと気が合ったな。俺は、いつか「マネーの虎(ビジネスプランに投資を募るTV番組)」に出てみたいんだ(もちろんお金を出す側でだぜ)。今度のSuperdomeは、UPSだけでタンス3個分あるんだ。総重量が5トンもあるから、床が抜けないかどうか心配だ(がはははは)。

 ビッグな齋藤社長には、ES7000やSuperdomeのようにビッグなマシンがよく似合う。ただし、ビッグなマシンを稼動させるには、天野氏のように心優しいサーバー管理者が不可欠であることも実感させられた。今日は、とっても勉強になったなぁ。などと感激していたら、シゲちゃんが突拍子もないことを言い出した。「師匠、せっかくだから見るだけでなく、ES7000で何かやってもらいましょうよ。画面に”Hello World”って出すのはどうです」何をバカなこと言ってるんだよ。3500億円分の取引情報が入ってるんだぞ。そんなこと許してくれるわけないだろう。と思いつつ齋藤社長にお願いすると「リアルタイム取引時間外だからいいでしょう」と、あっさりOKしてくれた。えっ、いいの? 齋藤社長の気が変わらない内に、やっちゃえ! やっちゃえ!

 「メモ帳」を使ってVBScriptのプログラムを記述し、Windowsが標準装備しているWSH(Windows Scripting Host)で実行することにした。巨大なES7000であっても、インストールされているのは市販のWindowsとほぼ同じだ。天野氏が[スタート]ボタンをクリックすると、メニューの横には” Windows 2000 Datacenter Server”という文字列が表示された。かっこいい! 「アクセサリ」には「メモ帳」のみならず、ちゃんと「ゲーム」まである。またまた感動した。ここで、齋藤社長が割り込んで来て、いきなり「ソリティア」を起動した。なんて凄いことをする人なんだ。おおっ! ちゃんと動いているじゃないか。ES7000で「ソリティア」が動いている。

 ”MsgBox Hello World”とプログラムを打ち込む天野氏の指先が、緊張して少し震えている。シャレじゃ使えないマシンであることがヒシヒシと伝わってくる。表示する文字列をダブルクォーテーションで囲まなくちゃだめだよ。えっ? 英語版OSを日本語キーボードで使っているからキー配列がわからないだって。それじゃ、適当にキーを押してみればいい。OK! できたできた。デスクトップに保存しちゃおう。あれあれ、それじゃファイル名の拡張子が違うよ。右クリックして、.vbsに変更だ。これで準備完了。ドキドキするなぁ。ダブルクリックして実行だ。うお~っ! ES7000に”Hello World”が出ちゃったよ。シゲちゃん写真、じゃなくて天野さん、画面のハードコピーをお願いします。早く! 早く! なぜか焦ってしまった。

これからもHello Worldの旅は続く

 「師匠、面白かったですね!」取材を終えた私とシゲちゃんは、興奮した頭を冷やすかのように、駅までの道を歩いて帰った。確かに、楽しい取材だった。日本中には、様々な名物コンピュータがあるだろう。そして、コンピュータがあるところには、そのコンピュータを守り愛する人たちが必ずいるはずだ。名物コンピュータを見てみたい。コンピュータを愛する人と語り合いたい。記念に”Hello World”と出してみたい。こうして我々の取材の旅は続いていくのでありました。

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