では、次にモチベーションコントロールについて説明します。

 人の行動には何らかの理由があります。これが動機と呼ばれるものです。そして、仕事を遂行するための行動の動機は、行動する人の立場、役職、年齢や経験のレベルに応じて異なるものになってきます。

 たとえば、新人が仕事のために行動するのは、多くの場合上司や先輩の目が怖いからです。

 新人であればまだまだ遊びたい気持ちが強いでしょう。手を抜いたり、サボることを考えたりします。でも、それをしないのは他人の目があるためです。

 つまり、新人の仕事における動機は「仕事をしないと怒られる」という非常に動物的なものだと考えることができます。(当然、そうでない理念の高い新人もいますが・・・)

 一方、課長、部長など管理者クラスの場合の動機はもっと別のところにあるのが普通です。

 課長くらいになれば、一日中会社にいなくても誰も文句は言いません。このような高い資格、役職の人の場合には「会社や組織の目標を達成しなくてはならない」というミッション認識があります。これが、動機となって行動に現れると考えることができます。

 当然、課長であれば部長の目が怖いでしょうし、部長であれば、役員の目が気になるでしょう。役員であれば、社長の目が怖いはずです。

 このように「上司が言っていることだから実行しなくてはならない」という動機もありますが、常にそれだけを動機としているわけではありません。あくまで、自分でミッションを設定し、それを遂行する行動を好み、遂行に関係ない行動をあまりしたくないと思っているのです。

動機を高めたり、弱めたりすることで行動をコントロールする

 このように、行動には必ず動機があり、さらに、その動機には高低のレベルがあります。動機の高低のレベルは行動の俊敏さに影響を与えます。

 たとえば、「上司から指示されたので自分はこの仕事をしなければならない」という使命感(ミッション)を持っている人の場合、この人の仕事に対する動機レベルは高いと言うことができます。

 一方、他部門の人間から自分の担当だとは思えない仕事を依頼され、「この仕事は自分の仕事ではない」と考える場合、その仕事に対する動機はまったくないか、著しく低いと言うことができます。

 「できればやってほしい」という依頼を受けた場合の動機レベルも一般には低いと言えるでしょう。

 人の行動は、動機が高い・低いに影響されます。一般に動機が低いと行動は鈍く、高いと俊敏になります。

 つまり、人に行動を促すためには動機を高めればよく、逆に行動を鈍らせるには、動機を低めていけばよいことになるのです。

 以前に説明したとおり、ある人間の行動を否定すれば動機は弱まります。無視し続けても動機は弱まります。逆に行動を褒めれば動機は高まるのです。

 これを理解して、上手く利用することで、人の行動を制御することができるのです。

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