業務時間内に,時間通りきっちり作業を終わらせた。そのために仕事が楽なのではないか思われた経験はないでしょうか。

 粗悪なアプリケーションを作成したときは,その多大な保守や改善にかかわる工数を評価してもらったのに,完璧なアプリケーションを作成したときは,保守や改善がないために,簡単な作業だと見積もられた経験はないでしょうか。

 私はそういう経験があります。

 粗悪なアプリケーションの場合は,ひっきりなしでトラブルがあるため毎日遅くまで働いている必要があります。完璧なアプリケーションはその保守の必要性すら忘れられることがあります。

 どちらが経営的に見てすばらしい環境でしょうか?すべての経営者が後者の完璧なアプリケーションと答えるでしょう。それでは,どちらの技術者が評価されるべきでしょうか。

 品質の高いアプリケーションを短期で開発できる能力こそが,最も評価されるべきです。遅くまで仕事をしていることでしか,SEを評価できない体制下では,そこで働くSEは疲弊しきってしまいます。モチベーションも維持できません。

 労働時間でしかSEを評価できない,または派遣業でのみなりたっているインテグレータやベンダーは,人材を育てることができません。品質が勝負の時代になったときに,生き残ることは困難だと思います。