今年も夏が近づいてきました。去年の夏でした。あと半月ほどでシステムのカットオーバーです。ヤマ場も過ぎて,もう少しで東京の自宅に帰れることが待ち遠しいころでした。

 「そろそろ,UPSの動作試験をしなきゃね」と同僚と話をしていたところ,午後に夕立が発生。送電線が通っている県の北部で落雷があったらしく,電気が止まってしまいました。

 「ピー,ピー,ピー」と,UPSが警告音を立てて給電を開始します。「動作はバッチリだ」と喜んでいたのも束の間。クーラーが止まったサーバー・ルームの温度が急上昇しました。

 あちこちの機器で,温度警告が作動します。ふと横のNetscreen5200を見ると,アラーム・ランプが点灯しています。あちこちの機械で温度センサーが働いて,次々とシャットダウンしていきます。

 ここで,このサーバー・ルームの大きな間違いに気がつきました。なぜか近所の電気屋さんで買ってきたような,普通の家庭用扇風機が各所に備えられていたのですが,そのすべてが停止しています。

 システム管理者は,なぜ扇風機をUPSにつないでおかなかったのでしょうか。空調が止まっても,窓を開けて扇風機を動かせれば多少マシだったかもしれません。

 そもそも,何でサーバー・ルームは家庭用扇風機で換気しているのでしょうか。数千万,あるいは数億円もするシステムを家庭用の扇風機で換気すること自体,深い謎です。

 自分がサーバー・ルームを設計することになったら,熱設計をしっかり考えようと思います。