林@アイ・ティ・イノベーション代表です。こんにちは。

 和魂洋才の「和魂」は,日本人固有の精神を示します。「広辞苑」によると,学問の神様で有名な菅原道真公が,「わが国固有の精神と中国伝来の学問をどう融合するか」という精神を一言で示した「和魂漢才」に由来しているとのことです。

 「いかに優れた海外の文化でも,まずは日本人の精神を通して消化し活用することが大切」。道真公はこの言葉を通して,今もこう教えているわけです。和魂漢才は,西洋文化に学ぶ明治時代を迎えて,「和魂洋才」に変化しました。

 ITの世界にもこの考え方は100%当てはまります。欧米の“猿真似”では,自分たちの組織への定着などおぼつかないからです。グローバルに成功している日本企業に共通して言えることは,「和魂洋才」の精神が現代風にうまくアレンジされ,活用されていることではないでしょうか。

 CMM(能力成熟度モデル),プロジェクトマネジメント,エンタープライズ・アーキテクチャ(EA)。こうしたIT分野の方法論の多くは欧米から来ています。多くの企業が“産地”である欧米のやり方を真似て---つまりこれら方法論をそのまま取り込もうとしたがために,目立った成果をあげることができていません。

 私はこうした方法論の活用を得意としていますが,その理由は方法論の本質を理解した上で,自分なりに, あるいは適用先であるお客様の状況を見ながらアレンジしているからです。

 そもそも,欧米の文化から生まれた方法論を,文化の異なる日本にそのまま当てはめる方が無理というものです。「和を尊ぶ農耕的な性格,つまりまじめで協調的」,「改善は得意だが,“犠牲者”を出してまでの変革は好まない」。日本企業が持つ文化を意識しながら,方法論をアレンジする必要があります。

 さて,IT業界は欧米伝来の文化で席巻されています。ですが私は日本発のIT方法論を海外に輸出することが可能だと考えています。「カイゼン」が英語になったことが象徴しているように,改善の考え方は世界に通じるものです。欧米伝来の方法論に改善を加え,ブラッシュアップして逆輸出する---。こんな姿は,決して絵空事ではないはずです。それだけの潜在能力は,日本にはあります。

 皆さん,日本を発信地としてソフトウェア文化を欧米に逆輸出しようではありませんか。

 それでは,また。

【この記事はプロマネのポータルサイト「ザ・プロジェクトマネジャーズ」との連携コンテンツです】