プライバシ保護団体の米TRUSTeと市場情報を手掛ける米TNSは米国時間1月9日,米国人のバイオメトリック技術に対する意識調査の結果を発表した。それによると,回答者の82%はパスポートにバイオメトリック認証を導入することに賛成しているという。運転免許証については4分の3が賛成しており,社会保障カードでは72.6%が賛成している。回答者の52%は,「バイオメトリック技術を使って米国人を認証することにより,テロリストが米国内で活動しにくくなる」と考えているという。

 調査により,回答者は,セキュリティと引き換えに多少プライバシが損なわれても仕方が無いが,情報が悪用される可能性もあると考えていことが明らかになった。53%の回答者は,バイオメトリック技術の導入により,「政府が行動を追跡できるようになるため,プライバシが大幅に損なわれる」と考えている。60%は「政府が情報を悪用する可能性が高い」と回答している。

 また,回答者は,バイオメトリック技術のなりすましに対する有効性に不安を感じている。68%は身分証明書にバイオメトリック認証を追加することにより身元詐称が難しくなると考えている。しかし,ほぼ同じ割合の67%は「犯罪者はこの技術を回避する方法を見つける」と考えている。

 TRUSTeによれば,政府によるバイオメトリック情報の使用について,多くの回答者はセキュリティを強化するためにプライバシが損なわれることを容認している。しかし,小売業者に対しては,個人を識別できる情報を提供することに不安を感じている。

 クレジット・カードにバイオメトリック情報を加えることに64%の回答者が賛成している。デビット・カードでは62%が賛成している。バイオメトリック認証による支払いシステムに対する信頼度は低く,指紋認証による支払いシステムの利用経験者は2%未満だった。32%は「小売店を信用していない」と答えている。同技術を導入する支払いシステムを利用したいと答えたのは23%だけだった。

 調査は,2006年9月25日~29日に米国消費者1025人を対象にTNSが実施したもの。調査前に,対象者の70%が,バイオメトリクスについて聞いたことがあると答えている。

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