写真1:米AppleのSteve Jobs CEO [画像のクリックで拡大表示] |
写真2:「タッチパネル式ワイド液晶搭載iPodをリリースする」といいつつ,その実態はスマートフォンだった [画像のクリックで拡大表示] |
Steve Jobs氏(写真1)は,開発コード名が「iTV」だったセットトップ・ボックス(STB)の「Apple TV(Appleは同社のロゴマークを使用している)」を正式発表した後に(Apple TVの詳細については本記事最後で紹介する),表情を改めて「今日は3つの革命的な製品を発表する」と切り出した。以前から噂になっていた「全面タッチパネル式液晶のiPod」,「携帯電話機」,「革新的なインターネット・コミュニケーション・サービス」だという(写真2)。
全面タッチパネルのiPod機能搭載スマートフォン「iPhone」
写真3:「ボタンとコントロールでは何も変わらない」とJobs氏 [画像のクリックで拡大表示] |
それに対してiPhoneは「電話に革新的な新しいユーザー・インタフェース」を提供する」(Jobs氏)という。「われわれは20年前(Macintoshを発表した1984年)に,どのような用途にも使える新しいユーザー・インタフェースと,新しいポインティング・デバイスとしてのマウスをリリースした。現在のスマートフォンのようなスタイラスは誰も使いたがらない。iPhoneは生まれたときから誰でも持っているデバイス,つまり指を使う」。
“デスクトップ級”のアプリケーションを搭載
写真4:すべてをタッチパネルで操作するスマートフォン [画像のクリックで拡大表示] |
Jobs氏はMac OS Xを搭載するiPhoneが「デスクトップ級のアプリケーションとネットワークを搭載する」と強調する。「われわれはソフトウエアを愛している。だからソフトウエアによって,電話のブレイクスルーを実現する」と語り,「ソフトウエアに真摯に向き合う人間は,自分の手でハードウエアも作り出すべきだ」というAlan Kay氏の言葉を紹介した。
音楽再生機能はiPod相当
iPhoneが備える各機能や使い勝手の詳細は,追って動画レポートで紹介するので,ここでは文章と写真を使って各機能を簡単に紹介しよう。iPhoneの初期画面は写真5のようになっており,各ボタンを指でクリックすると,様々なアプリケーションが起動する。iPhoneが備える音楽/動画再生機能(写真6)はiPodと同等で,コンテンツは「iTunes」を使って管理する。またiPodのコンテンツと同期させることもできる。
写真5:iPhoneのアプリケーション起動パネル [画像のクリックで拡大表示] | 写真6:音楽再生画面。CDのジャケット画像が表示されている [画像のクリックで拡大表示] |
文字はタッチパネルを使って入力
写真7:電話をかけている画面。誰が相手か文字と写真で分かる [画像のクリックで拡大表示] |
写真8:電子メールに文字を入力している画面。タッチパネルがキーボードになる [画像のクリックで拡大表示] |
メールなどでの文字入力にも,タッチパネルを利用する(写真8)。文字を入力する際には,タッチパネルの下部にフル・キーボードのボタンが現れ,これに触れると文字が入力できる。Jobs氏は「今のスマートフォンの小さなプラスチック・キーよりも,ずっと使いやすい」と語る。IMAPのメールに関しては,Yahoo! Mail,Microsoft Exchange Server,.Mac Mailに対応し,POP3メールに関してはGoogle Gmail,AOL Mailのほか,一般のISPのメール・サービスにも対応しているという。なおiPhoneのユーザーは,IMAPに対応したYahoo! Mailを無料で利用できる。
SafariやGoogleマップも搭載
他のアプリケーションも見てみよう。写真9は,iPhoneに搭載されているSafariの画面で,ズームアップなどができる。写真10は,株式情報をインターネット経由で受信したWidgetsだ。写真9:New York TimesのWebサイトを閲覧している。タッチパネル操作でWebの画面を拡大できる [画像のクリックで拡大表示] | 写真10:株価情報を表示するWidgetsを起動した画面 [画像のクリックで拡大表示] |
iPhoneの目玉アプリケーションの1つが,「Googleマップ」だ(写真11。基調講演でJobs氏は,会場周辺のスターバックスの店舗をGoogleマップで検索し,検索結果に現れた電話番号を使ってスターバックスに電話をしてみせた。また基調講演には米GoogleのEric Schmidt CEOも登壇し,AppleとGoogleが密接に連携して,iPhoneへのGoogleマップ搭載を実現したことを強調した(写真12)。このほかiPhoneでは,インスタント・メッセンジャなども利用できる。iPhoneのバッテリ駆動時間は,通話やビデオ再生,Webブラウジングができる時間が5時間,音楽再生だけなら16時間だという。
写真11:Googleマップを使用している画面 [画像のクリックで拡大表示] | 写真12:米GoogleのEric Schmidt CEO [画像のクリックで拡大表示] |
米国で6月,欧州で2007年第4四半期,アジアで2008年に発売
iPhoneの価格は,4Gバイトのフラッシュ・メモリー搭載モデルが499ドル,8Gバイトのフラッシュ・メモリー搭載モデルが599ドル。米国では2007年6月に,欧州では2007年第4四半期,アジアでは2008年に発売する(日本での発売については言及がなかった)。iPhoneが利用できるのは,米Cingularになる。
Apple TVは299ドルで2月に発売
写真13:iTunesで管理するコンテンツを大画面テレビで再生する「Apple TV」 [画像のクリックで拡大表示] |
写真14:Apple TVのユーザー・インタフェース [画像のクリックで拡大表示] |
なおAppleは同日,社名をApple ComputerからAppleに変更した。Macworldの基調講演でも,Apple TVとiPhoneの発表が全てで,新OS「Leopard」などには全く触れられなかった。今回の基調講演は,Appleがパソコン・メーカーから,名実ともに総合デジタル家電メーカーに生まれ変わった日だと言える。