写真1●CESでスピーチする米モトローラのエド・ザンダー会長兼CEO
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写真2●ザンダー会長が乗ってきたのが携帯電話の充電機能付き自転車
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 携帯電話端末世界シェア2位の米モトローラで会長兼最高経営責任者(CEO)を努めるエド・ザンダー氏は8日,「2007 International CES」で基調講演の演壇に立った。携帯電話に人力で充電する機能がある黄色い自転車に乗って登場した同会長は,二つのことを強調した。一つは「携帯電話が個性を示す道具になっている」(ザンダー会長)こと。もう一つは携帯電話の端末数は「まだまだ成長の余地がある」(同)ということである。

 ザンダー会長は「韓国では携帯電話で映画が見られ,日本では携帯電話がオンライン・デートに使われている。昨年発売したピンク色の携帯電話は母の日のプレゼントにも使われ,爆発的な人気となった」など,最近の先端的なトレンドを紹介。携帯電話は今後も音楽や動画再生,インターネット接続といった機能が進化し,ますます高機能化するとの見方を示した。かつて米サン・マイクロシステムズの社長だったザンダー会長は「コンピュータ業界に25年いたが,携帯電話端末ほど進化の速度が速いものは見たことがない」と強調する。

 基調講演の中で発表された米Yahoo!の新しい携帯インターネット・サービス「Yahoo! Go 2.0」も携帯電話の多機能化を助けるものだ。同サービスは8日からベータ版が始まっている。Yahoo! Go 2.0はモトローラの携帯電話などから利用でき,検索機能に加えて,Yahoo!メール,端末の位置情報に基づいたコンテンツ提供,写真共有サービス「Flickr」への写真のアップロードと閲覧などが可能である。Yahoo! Go 2.0は米国だけではなく,各国の携帯電話事業者と協力して世界的にサービスを展開する予定としている。

「携帯電話は1秒間に25台売れている」

 ザンダー会長によれば,携帯電話は量的にも拡大を続ける。「現在,地球では1秒間に4人の子供が生まれているが,携帯電話は1秒間に25台売られている」(ザンダー会長)。

 特に,インドや中国,南米,中近東でユーザー数を増やす。「インドでは毎月600万人,中国では毎月500万人ずつユーザーが増えている。ベトナムでも1800万人の携帯電話ユーザーがいる。ナイジェリアにも多くのユーザーがいる。ザンビアでは携帯電話で銀行サービスが使え,南アフリカでは携帯電話でカルテが扱える」(同)。

 モトローラは発展途上国での携帯電話の普及を促すために,「MOTOFONE」という防水・防塵設計で低価格の端末や,前述した充電できる自転車などを開発している。現在,携帯電話ユーザーは全世界に20億人いるが,「今後は1年でさらに10億人の増加が見込める」(ザンダー会長)という。

 基調講演では,他にも音楽機能を強化した新端末「MOTORIZR Z6」や米ワーナー・ミュージック・グループとの提携を発表した。一見成熟しつつあると思われる携帯電話だが,今後も質・量ともに発展を続ける--このようなメッセージが強く伝わってくる内容だった。