写真1:日立グローバルストレージテクノロジーズが発表した3.5型で容量1Tバイトを実現したハードディスク
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 「2007 International CES」の開幕2日前に当たる1月6日(米国時間),米国ラスベガスのSands EXPO&Convention Centerで,報道機関向けにCESの展示製品の一部を公開する「CES Unveiled」が開催された。日立グローバルストレージテクノロジーズが1月4日(同)に発表した容量1Tバイトの3.5型ハードディスク・ドライブを初披露したほか,多くのメーカーが新製品を展示した。

 日立グローバルストレージテクノロジーズが実物を初めて披露した「Deskstar 7K1000」(写真1)は,世界初の1TバイトHDD。2007年の第1四半期に出荷する予定で,価格は399米ドル。1Gバイト当たりだとわずか40セントになる。また同社はデジタル・ビデオの録画に特化した1TバイトのHDD「CinemaStar 7K1000」も発表,07年第2四半期に発売する予定。なお同社によれば,1956年に発売された世界初のHDDは「5Mバイト」の容量だったという。

 CES Unveiledではこのほか,CES本番では見過ごされがちな「一風変わった製品」が,数多く展示されていた。ここからは,会場で見つけた面白い製品をいくつか紹介しよう。

「携帯電話でフル・キーボード」が常識に


写真2:三つ折型のWindows Mobile搭載端末「S-XGEN」
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 小型のフル・キーボードを搭載した携帯電話機「BlackBerry」がいち早く普及した米国だけに,CES Unveiledでも,新しい形状のフル・キーボード搭載携帯電話機に注目が集まっていた。

 三つ折型のWindows Mobile搭載端末「S-XGEN」(写真2)を展示したのは,米Seamless Internet。端末を開くと,タッチ・タイピングでさえできそうな大型のキーボードが現れる。同社ではS-XGENを「Ultra Mobile PC」だと位置づけており,「これさえあれば,重いノート・パソコンを持ち運ぶ必要がなくなる」と意気込む。

 通信機能は携帯電話網(900/1800/1900MHz)に加えて,無線LAN(IEEE 802.11b)やBluetooth,有線LAN(100BASE-TX)も搭載する。解像度470×280ドットのタッチパネル式4型液晶ディスプレイやWebカメラ,20Gバイトのハードディスク,256Mバイトのフラッシュ・メモリーを搭載する。重量は14オンス(約400グラム)で,外形寸法は幅6.5インチ(約16.5cm)×高さ3.8インチ(約9.7cm)×厚さ1.25インチ(約3.2cm)。実売価格は1395ドルだという。

通常サイズの携帯電話機にキーボードを押し込む技術


写真3:「Fastap」を搭載した携帯電話機
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写真4:MP3プレーヤ型の携帯電話端末「X830」
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 米Digitwirelessは,キーボードを大型化した「S-XGEN」とは対照的に,通常サイズの携帯電話機に,アルファベットの全キーを押し込む技術「Fastap」を展示した。Fastapは,写真3のように携帯電話の数字キーの間に,AからZまでのアルファベット・キーを搭載する技術。既にFastapを搭載した携帯電話機が,韓国LG Electronicsや米UTStarcomなどから製品化されており,米国や韓国,中国,メキシコなどで利用できるという。

 このほか携帯電話に関しては,韓国Samsung Electronicsが新製品を多数出展した。特に興味深いのはMP3プレーヤ型の携帯電話端末「X830」(写真4)。非常に小型ながらMP3ファイルの再生はもちろん,デジタルカメラを内蔵し,MP4ファイルの再生・録画機能も搭載するという。スペック・シートによれば,重さは72g。待ち受け時間は230時間,連続通話時間は5.2時間である。サムスン電子は他にもスライド式のフル・キーボードを備える携帯電話端末「SCH-i760」なども展示し,注目を集めていた。

水中でiPod,いつでもどこでもXbox 360


写真5:iPod用の耐水ケース
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写真6:iPod用の追加バッテリー・パック兼FMトランスミッター
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写真7:Xbox 360専用ワイド・モニター
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 携帯音楽プレイヤーやゲーム機の周辺機器にも,ちょっと変わった製品が存在する。米Atlanticが展示したのは,「iPod」用の耐水(ウォーター・プルーフ)ケース(写真5)。スピーカーやバッテリーが対になった耐水ケースで,海辺やプールで音楽を聞くのに適しており,ケースはiPodを入れた状態で水に浮く。実売想定価格は199ドル。

 米Battery-Bizは,iPod用の追加バッテリー・パック兼FMトランスミッター「PowerFM」を展示した(写真6)。携帯音楽プレイヤーを使っていて悩ましいのが,すぐに切れるバッテリーである。PowerFMは1600mAhのバッテリーをiPodに追加できるだけでなく,iPodのイヤホン用音声出力をFMラジオで受信できるFMトランスミッター機能も搭載している。製品化に際しては,米P&G傘下の米Gilletteが所有するバッテリー・ブランド「DURADCELL」を使用している。2007年第一四半期に発売する予定で,実売想定価格は79ドル。

 ゲーム用の周辺機器では,米Axionが出展したXbox 360専用のゲーム・モニター「MP-920XB」(ブランド名はMojoPlay)が興味深い(写真7)。MP-920XBは解像度800×420ドットの9.2型ワイド・モニターで,専用ケーブルでXbox 360に接続する。写真のように,Xbox 360本体に装着できるようになっており,電源さえあれば,どこででもXbox 360を使えるようになる。実売想定価格は169ドル。

2次元バーコードで操作するロボット掃除機


写真8:ロボット型のユニークな形の掃除機「UBOT」
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 最後に,オーディオ・ビジュアル(AV)に関連しない“デジタル家電”の新製品を紹介しよう。韓国Microbotが展示した,ロボット型のユニークな形の掃除機「UBOT」だ(写真8)。直径42cmの円柱型の形状をしたロボットが自動的に移動しながらゴミの吸収やモップ掛けを行う。UBOTは床にあらかじめ印刷しておく目に見えない2次元バーコードを読み取りながら移動する。この方式によって正確で効率的な移動が可能になるという。UBOTの韓国での価格は120万ウォン。すでに米国やフランスでも販売しており,「日本でも発売したい」(Microbot社の説明員)としている。